第90話 歓迎の宴
色とりどりのドレスアーマーを装備したケット・シーたちが2重の輪になって踊り、歌い、マーリャの剣舞のような魅了を含むスキルが催される。
楽器は太鼓や笛のようなシンプルな物しかないが、ケット・シーたちの声域が広いため、たまの耳にも薄っぺらな音楽には聞こえない。
――猫パンチ!!
――DEX小上昇ソング!!
――不可思議な踊り!!
イアレフ国の家々は小さく、城でさえ種族によっては入れないくらい小さい。そのため、城の前の広場で歓迎の宴が行われる。
「家?丸い形の上に三角の形!まるで雪だるまの頭だよ!」
『ハンブルク式の失敗から誕生したと記録にあります』
「扉が小っちゃいね!あれだとジューヌは入れないね!」
――余はイアレフ国代表のライ。訪問を歓迎する。そちらのご婦人もな
小さな王冠を頭にのせたケット・シーがヘキシアたちの前へやってくる。
――はっ!!
ドラゴンクラッシャーのメンバーは片膝をつき精悍に答え、アララも片膝をつきニコリと微笑む。
ふと、ミュリーはライの腰の装備に目がとまる。
――これか?これは初めてガラクタ武器マニアの弟がレジェンドアイテムを引き当ててな。それで余が使うことにした
一同はこの場にレオン皇子がいない理由を察した。
――とてもイイ武器ですわね
ヘキシアが軽くほめるとふふんとレオン皇子と似た表情がこぼれる。
――地獄のオルフェ!!
――ときにご婦人。ここ最近、なぜかゴブリンで被害が出ていてな。知り合いの錬金術師にイアレフ国へ訪れてもらうことはできぬだろうか?
アララは即答しない。
――サザ炎ダンス!!
――娘がハンブルク王国にいますので、魔導通信をお借りできれば聞いてみますわ
――そうか。よしなに頼む
ライは少し肩の荷がおりたからなのか、ケット・シーの文化なのか、わからないが踊りの輪に入っていく。
「ヤットサーヤットサー!ヤットサーヤットサー!」
たまもつられて、コアの周りで阿波踊りを踊る。
その後、踊り子たちに誘われるとドラゴンクラッシャーのメンバーの半数が踊りの輪へと入っていった。
――剣舞!!
2日後。ライにもっと滞在していくとよいと言われたが押切って出発した。
――ダフネが港町では1回も出なかったって言ってたけど、本当にでないなんてねぇ
――そうね。でも、ダンジョンから離れると出なくなる説だったら出ないんでしょ?
――ミュリーさんの妖精のささやき、まだまだ。信じて旅する
ダルメシアン獣人のジラが発言する。
――町では出ないだけ、信じて旅する
ダックスフント獣人のオーテリアも同意する。
信じると言った面々だが、その足取りは重い。もしかして距離?という疑念が浮かび、レオン皇子が先頭を歩いていたころのように遅いが、そのことを指摘するものは誰もいない。
――きゃん!
おそいぞ!おそいぞ!おらおらと柴丸が先頭を歩くのだった。




