第89話 当たりと外れ
地下にあるドワーフたちの休憩場所。要するに洞窟の広い場所である。
――偉大なるサァケのクランに!
――偉大なるサァケのクランに!!!!
ファルフの音頭で、酒の入ったジョッキが掲げられ、ドワーフたちは一気に飲み干す。もちろん、それ以外の面々はちょびちょびと口をつける。
レオン皇子は酒の匂いだけで眠り、柴丸も一緒に丸くなる。
「おつまみ出すべきかな?」
『不要です』
――訂正しないです?
兎獣人のマーリャ隊長が耳をへなりとしてヘキシアに聞く。
――無理よぉ。こうなったドワーフには何を言ってもむだよぉ。あ。でも
――なんです?
きょとんとしたマーリャには答えず、ヘキシアが首をひねり反対に座るファルフに質問を投げかける。
――ねぇ、ファルフ。地下に昔の都ってあるの?
――ん?遺跡だろうか?
――まぁ、そうねぇ、そんな感じのよぉ
――そこの壁面に出っ張った石があるだろ?
――ん?ええ
――古代ゴーレムの残骸だ。ここ最近は、やたらと出てくる不思議だろ?
ニヤリとファルフが笑う。
――不思議ねぇ。それで都ってあるのかしらぁ?
――見つかってはいねーが・・・ある方向に向かうと残骸が増えてくる・・・
――へぇ。その方向って?
――砂漠。スイィツェ砂漠の方向だ
ファルフは壁を指さすが、ヘキシアもマーリャも洞窟で方向なんてわからない。ただ、スイィツェ砂漠は南にあるので南を指したのだと推測する。
ヘキシアがマーリャへ視線を戻したときに、柴丸の横にシレッと木製の宝箱が出ているのに気づき、髪をかき上げて思考し、牛獣人のジューヌに指示を出す。
ジューヌは宝箱を開けて、ヘキシアへ報告に戻る。
――何か海臭い物が出た
――くさいのぉ?
ヘキシアはミュリーに声をかけ、柴丸の丸くなる隅へと席をたつ。
――この皿の隅にある白いのはわかるわ。フワフワの白い三角にはさまっていたものと同じよ
――そうなのね。なら、回復アイテムなのかしらぁ・・・くさいけどぉ
――いってみるです
マーリャが耳をピーンとさせ、くさいものをくわえハムハムとする。
――どうかしらぁ?
――噛んでるとイイです
ヘキシアとミュリーは顔を見合わせて、マーリャの後に続く。
「じゃじゃーん!あたりめだよ!おつまみだから、いつもみたいにドーンって出さずに、こっそり出したの!」
アララがやってきて、ドラゴンクラッシャーのメンバーが、一人、二人と集まり、隅でもぐもぐとあたりめを噛みしめる。せまくなったのでミュリーは柴丸を抱きかかえながら外れもぐもぐする。
――ん?
ドワーフたちもそれに気づき、ドタドタとやってきて、ドラゴンクラッシャーのメンバーを押しのけて回復アイテムを目にする。
――ギャッ
――なんだこりゃ?くせぇな?
――ぐぇ
ファルフも見よう見まねで、あたりめを口にする。そして、目を見開き、酒の入ったジョッキを口にする。
――さすが!ドラゴンクラッシャーだ!
バンバンとヘキシアの肩をたたく。
――ちょっとぉー、私はHP低いのよぉ
どれどれと他のドワーフたちもあたりめに群がり、酒をあおる。
――ぉぃっ!ぐぁっ、ほげぇ、うげげぇ
――海くせぇがイイな
――見た目はワラですね
――確かに
ドン!
――マンガニにワラの錬金したらコレにならねぇーか?
――試そうぜ。今はマンガニねーけど、明日にでもやってみよーぜ?
――お?白いのつけると更にイイな
――どれどれ?
――ハイヒール!!
ミュリーは、邪魔だと蹴り出されたズタボロのレオン皇子にハイヒールをかけ見なかったことにするのだった。




