第86話 たまの敗北
ミュリー、ヘキシア、第5部隊の獣人たちは、塔から降り注ぐ燃えて飛ぶ矢もヘビのようにくねりながら飛ぶ矢も余裕を持ってかわすが、アララはそうはいかない。
熊獣人のエプリン副隊長と鹿獣人のメイが武器を使ってはたきおとす。
――ミュリーさん!家しまうです?
兎獣人のマーリャ隊長が指示を求める。
――いえ!消滅するまで壁として使います!
ふぁぁっ
テントの入り口で柴丸はあくびをして丸くなる。
――なら長引かせるように家へ障壁魔術をかけるわぁ
――やー!やー!なぜ?君たちは魔物に襲われないのかい?
レオン皇子が、ツヴァイやオークの攻撃を回避しつつ質問を飛ばし、こちらへ逃げてくる。
――本国の新兵器!魔人にならない魔人液だ!驚いたろ?!更にSTRも上昇だ!ハーッハハハハ!!
「魔人にならない魔人液!もう、何言ってるんだかわからないよ?!」
『そんな物はありません。どうやら薄めているだけですね。こめかみに小っちゃい角があります。30日後には魔物になっていると推測します』
「思いっ切り捨て駒にされてたよ?!」
――STR大上昇、DEX大上昇、VIT大上昇、INT特上昇、異常耐性大、魔法耐性特、物理耐性大、魅了耐性特・・・
ミュリーが一人一人着実に支援をかけていく。
――グッドラック!LUK特上昇オール!溢れる光!2羽を得る!タナボタ!鴨葱!ジャックポット!
「レオン皇子が魔物をマーリャに押しつけて、キラキラし始めたよ?!」
『ケット・シーの戦闘スタイルです。幸運をあげる全体魔法をバンバン使って激幸運の状態になります』
――ミスリルカッターを試す相手として不服だが、仕方ないね!
レオン皇子が飛び跳ね飛び回りミスリルカッターで攻撃する。チャキチャキチャキとカッターが伸びて、5メートル以上離れたオークへ次々と致命傷を与えていく。
第5部隊の攻撃も次々と致命傷を与えるが、オークらの攻撃は空ぶるどころか、味方に当たったり折れたりと散々だ。
後方から火の弾が飛んでくればテントにぶつかって斜めに曲がり、オークの一団を火だるまにした。
「すんごい頭の大きなオークがいるよ?!」
『オークマジシャンです。1体配置すればオークの連携を高められます』
――グランドスパイク!!
ヘキシアの魔法が塔の一つを消滅させる。
――ええい?!これだけ新兵器を投入してるのに何をやっているんだ!!
ツヴァイはマジックバックからガチャガチャと魔石を山のように積む。
――何かやってるわぁ。妨害する?
――いいえ。このぐらいの相手なら引き出しを見ておきましょ
戦いながらもミュリーとヘキシアはドラゴンクラッシャーシティーへ破壊工作を仕掛けようとしていた敵の懐を探る。
「いいの?いいの?油断大敵だよ?」
ツヴァイは最後にマジックバックから取り出したスクロールの魔方陣へ魔力供給をしていく。
茶色の光が魔物の死骸を材料として光の粒子へと変換し最後に強い光を放つ、そこに背丈10メートルの2足歩行のずんぐりとした岩が現れる。
――ハーッハハハハ!!新兵器の中の新兵器!テガ重錬金製魔動機プロト64だ!!
「ってゴーレムだよ?!スタンダードの中のスタンダード!風物詩だよ!」
『ゴーレム?アレ空っぽです』
ゴーレムの胸にある魔法陣からスポットライトのような光が伸び、ツヴァイがゆっくり吸い込まれる。
「カッコいい!!搭乗の仕方がまさかのゴレンラビットロボと一緒だよ!くっ、負けたよ!!でも!加速そーち!にやり」
ミシンをダダダダダッと使いスーツを造る。
「じゃじゃーん!こちらも柴丸ラビットレッドのスーツモードよ!」
ぼふん!
柴丸は赤タイツ姿に変身するが、うつらうつらと船をこいでいるのだった。




