第85話 我慢の限界
柴丸とレオン皇子が小競り合いを再開しペースはよくなっている。
――ヘキシア。もっと早く合流できたでしょ?
――それがねぇ、都へ報告に戻ったでしょ?
――ええ
ミュリーが何の話してるの?と少し怒り気味である。
――アベルが布装備をまだ見たことなかったらしいのよぉ。でねぇ
――ぇぇ
――少し見せたら、もっとよく見たいとか言いだしたのよぉ
――で、見せたの?
――いえ。見せなかったわぁ。それに言ってあげたのよ。そんなに欲しいなら、アベルなら優先して手に入るわよぉって
「やーよ?!ムリ!わたし!異世界男の下半身なんてしっかり見たことないもの!穴の数とかいくつ付ければいいのかわからないよ!」
『デコイ造ればわかります』
「つ、つくらないよ!」
――そうね。まだ、貴族への提供は始まってないからアベルの割り込みはできるわ
――そしたらねぇ
――そしたら?
――欲しくはない見たいんだ。って、言ったのよぉ?変だわよねぇ?これもダンジョンの影響かしらぁ?
「普通よ!精神も肉体も男の子なら普通だよ!」
――そうね。布装備は男には見せないことを通知したほうがいいわね
「裸もだよ!」
――それに布装備をつけると、いろいろといいわよねぇ?
――ええ。着てないころには戻れないわ
――戻れないわぁ
――ヘキシアはアベルとペアになりたかったのよね?それなら見せたほうがペアに近づいたでしょ?
「大胆だよ?!」
――そうよぉ。私はペアになりたいのぉ。でも、アベルはハーレムな生き方なのよぉ。だから、諦めることにしたのぉ
「好青年かと思ってたらダメ男だったよ?!」
『こちらの世界で言うハーレムは、人生で何度も夫婦をつくるという意味です』
「やっぱりダメぇ?あー、でも、エルフとか長生きだから?」
『はい』
――そう。なら今度、ビァーでも一緒に飲みましょ
――なんで、ビァーが出るのかわからないけど、そうねぇ。旅が終わったら付き合ってもらうわぁ
そして、その日の野営でことは起こった。
――ふざけるな!もう我慢できん!
――やー!やー!どうしたんだい?落ち着こうじゃないか!
商人のツヴァイはあろうことか、レオン皇子を怒鳴りつけている。
――落ち着けるか!俺たちの目的はドラゴンクラッシャーダンジョンの破壊工作なんだ!!なんで、尻尾ありの国なんかへ行くことになってんだ!
――あらぁ、なんか、とんでもなく物騒なことを叫んでるわよぉ
――みんな。しっかり見て覚えなさい。あれが、王家のスキルと付き合うという意味だから
――あんなに仲良くしていたのにおかしいです?
兎獣人のマーリャが耳をピーンとさせて疑問を口にする。
――私たちだって望まないことに知らず知らずのうちに巻き込まれてるでしょ?妖精のささやきに試される限界をむかえたのよ
――まぁ、ヒドイ。それは私に言ってるのよね?
――あ、アララ。そちらではなくて、イアレフ国へ向かうことです
――冗談よ
寂しそうに微笑む。
――さっき俺たちは本国の別働部隊と合流した!もう我慢する必要はねぇんだよ!やっちまえ!
「こっちだって負けないよ!スケ栗鼠!カク栗鼠!懲らしめてやりなさい!」
OOOOINK!!BUUUH!!
野営地を囲むように魔力波動が起こり、4本のねじれたキューブ型の塔が現れる。
その魔力波動で集まったがりがりの豚らが周辺の背丈より高い草原から飛び出し槍を突き上げ次々と襲い掛かる!
『オークです。ゴブリンより戦闘能力が高く連携すれば中級冒険者も倒せます。配置する場合は陣形を組める広いスペースをつくってください』
「やーよ?!ゴブリンより見た目悪いもん!」
同時に塔からは、どこの部隊ともわからない兵によって雨のように矢が射かけられるのだった。




