第83話 不運
――昨日からついてねぇ・・・今日も・・・・
――でもよ・・・ならねぇか・・・・
――やりゃー特別・・・だよな・・・・
――そりゃ・・・昇進・・・・
マーリャは聞き耳をたてているが、音消しの魔道具を使われていてまともに聞き取れない。
「いつも思うんだけど、野営で草の上に寝るのってやー!」
『それが普通ですし、寝ていても半醒半睡で隙にはなりません』
「テントだよ!テントが必要だよ!」
『たま様。いつもの調子でつくると蟲にすら穴を開けられますよ』
「そうなの?」
『最低でも皮を使用するべきです』
「そうなのね!がんばるよ!」
たまは、あーでもないこーでもないと悩みながらも素材を選び設計をしていく。
とんてんかん!とんてんかん!
宝箱が出現すると同時に双子の猫獣人のセプテーとオクテーが流れるように開いて、出たものを抱えて隠す。
「じゃじゃーん!袋から出すだけで広がるポップアップテントよ!・・・皮製は初めてだから細かい所は気にしないでね!」
――おい・・・今・・・・
――・・・宝・・・・
――・・・あの噂・・・・
――ツヴァイさんへ・・・・
口笛を吹きながらアララと話しているミュリーの元へ。
――そう。出てしまった物はしかたないわ
ミュリーは、はぁと頭を抱える。
――袋の中身は何かしら?出して見てみましょうよ?
アララは興味深々だ。
――エプリン、メイ、ジューヌ!ちょっと壁になって
熊獣人のエプリン副隊長、鹿獣人のメイ、牛獣人のジューヌがセプテーとオクテーを隠すように並んで立つ。
うんせうんせとセプテーがテントを袋から引っ張り出す。
ぼよよよよよよよよよよよよよよよよーん
?!!
高さ3メートル!直径7メートル!ピンクと白のギンガムチェックのドーム型テントが姿を現す。
「全員で寝れるようにしたんだよ!」
当然、壁になって立った者たちより広がって出現する。慌てたセプテーがおもわず袋を近づけると。
パタンパタンパタンパタタタタン
折りたたまれて袋に吸い込まれる。
――まぁまぁ!
アララは楽しそうだが、ミュリーは更に深いため息をはく。
ざわざわと野営地がざわめきだす。
――もう手遅れよ。出して確かめましょ
ミュリーの発言で再びセプテーがテントを袋から引っ張り出す。
ぼよよよよよよよよよよよよよよよよーん
――きゃん!
リードを持つオクテーを引っ張ってふかふか床のテントに入り、ここは俺のポジションだと中央で丸くなる。
――ライト!
ミュリーはライトで中を明るくし、アララとともに中へ入る。
――まぁまぁ!折りたたみ式の家ね!
――そのようですね
――やー!やー!アララよ!これはなんだい?武器にしか興味ない僕だけど気になってしょうがないんだよ!
――フフフ。ハンブルク王家秘蔵の折りたたみ式の家でしてよ!
ちゃっかり王家の物にされたがミュリーは黙っている。
――そうか!そうか!なら当然だと思わないかい?
――もちろんでございます。レオン皇子、旅の間はここをお使いください
にこやかに答えたミュリーだが、これだから王家のスキルはと苛立たしい気持ちをグッとこらえているのだ。
中央で寝ている柴丸の横をふふんと横切って、中央奥へいくとここは僕のポジションだと丸くなる。
「みんな喜んでくれてるね!向こうの人たちも入れるようにもっと大きくすればよかったよ!」




