第81話 特上
――剣舞!!
兎獣人のマーリャ隊長が双剣でゴブリンを斬る。跳んで斬り、回って斬り連続の斬撃で斬りつける。
――おおっ
双子の猫獣人のセプテーとオクテーがパチパチと拍手をおくる。
――無駄に跳んだり回ったりしないと効果が出ないので使いどころが難しいです
――ネビーラーウィップ!クーラーァウィップ!ウイグルゴークウィップ!ミツリーウィップ!
――何してる?
熊獣人のエプリン副隊長が、奇声を発しながらピシピシと鞭を振っているアララにたずねる。
――私もスキルがはえないかと、いろいろ声をだしているのよ。もう少しでいけそうな気がするのよ。最後のは呼吸が違うのかしら?
――スキルはそんなに簡単に身につかない。日々の訓練
ダックスフント獣人のオーテリアが答える。
――そして、実戦あるのみ
ダルメシアン獣人のジラが同意する。
――そうなのねー
――ミュリーさん、ボーっとしてしてるわ。どうしたの?
鹿獣人のメイは、心ここにあらずの状態で歩いているミュリーが心配になりたずねる。
――昨日の第2宝箱があんなに出たのよ。今日もダフネたちが・・・ねぇ、いったん戻らない?
――何いってるの?妖精のささやきに試されるのはわかるわ。でも、そういうこと一番言っちゃダメなのわかるわよね?
――わかってるわよ。でも、昨日のアレよ?!アレ!!部屋じゅうアレよ!
――昨日は特別だわ。あんなの続かないから、ほら、キビキビ進むわよ
――続くかもしれないでしょ?
ぷーと頬をふくらませる。
「ふふふーん。いきなり落としたりしないよ!」
――出た。開ける
牛獣人のジューヌが宣言とともに宝箱を開く。
「じゃじゃーん!柴丸印の特上サーロインステーキ弁当よ!・・・ガーリックライス、それとオニオンスープ!特上よ特上!サシがすごいんだよ!」
ふーふーと興奮気味にたまが語る。
――きゃん!
ガツガツ!ガツガツ!柴丸は躊躇しない。
弁当とスープが配られ、それぞれフタを開けだす。
――小っちゃいわね
――言った通り、あんなのは続かないわ
「希少なの!希少部位なの!小っちゃくないとありがたみがなくなっちゃうの!」
『希少ですか?素材から錬金した回復アイテムですよね?』
「ありがたみだよ!ありがたみが全然違うの!」
ガツガツと食べ、いつも以上に早く食べ終わる。
――少ないです
マーリャが小声でつぶやく。
「全体の量はいつもと同じだよ!」
名残惜しそうにエプリンが弁当箱の匂いをかぐ。
――この旅はミュリーさんの妖精のささやきを取り戻すためでもある。それまでは私たちも一緒に旅する
ジラがミュリーを見て発言する。
――え。嘘でしょ?ねぇ、嘘って言ってよジラ!
――おかしいとか小っちゃいとか言わなくなるまでだ
――オーテリアまで?!
自分も対象かとビクッとしたマーリャだが、そもそも、ミュリーに付き合わされるなら同じだと草と同じように耳を風に揺らしながら遠くの空を眺める。
「小っちゃいとか少ないとか!ありがたみ!ありがたみだよー!」
たまの叫びは誰にも届かないのだった。




