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第76話 ひとくち

 ごろりと巨大な魔石が2個並ぶ。


 ――すごいわぁ


 ヘキシアが感嘆する。


 ――クローム。都に戻ったらこの魔石をアベルに渡して。詳細は手紙にしたためるわ


 ミュリーがクロームに魔石を渡すが、あまりにも立派な魔石にクロームはマジックバックに入れることもせず固まってしまう。


 ――心配ねぇ。私も一緒に戻るから安心しなさい


 クロームはこくこくと首を縦に振る。


 ――あら?王家に納めてくださるのではないのですか?


 アララが国へ献上しなさいとプレッシャーをかける。


 ――最終的にはそうなるでしょうが、ドラゴンクラッシャーの代表はアベルです。代表に指示を仰ぐのが組織というものです


 ――それならいいのよ


 アララが理解をしめす。


 ――みんなに言っておくことがあるわ。しっかりと聞いて


 広場に集まったヘキシア、第2部隊の結晶族クリスタル、第4部隊のハーフエルフたち、第5部隊の獣人たち、第7部隊の縞模様たち、カラス獣人のクロームの顔を見渡す。


 ――んぐ


 カイリリが目を見開く。


 ――そうね。わかっていると思うけど、ダフネはもう・・・・


 ――あたいがどうしたんだい?


 真っ赤なランジェリー姿のダフネが、巨大手羽先をかみちぎりながらゆっくりと森から現れる。


 ――ダ、ダフネ?!


 ――あたいに決まってんだろ?おっさんも背後の木から熱い視線送ってくるから、ちょっとからかってやろうと隙つくった途端に真っ直ぐ飛び込んできて取り押さえたときに偽物かとびっくりしちまったよ


 ――いや、普通なら二手三手考えていくが、ダフネが狂獣バー・・・


 ダフネの後ろからついてきたおっさんが必死に言い訳をする。


 ――言い訳なんてみっともねーぞ


 ヘラヘラと笑うダフネに、バッとミュリーが抱きつき胸に顔を押しつける。


 ――ダフネ!よかった・・・よかった・・・・


 ――お、おう。迷惑かけたみてーだな。実は腐敗のブレスくらってから後の記憶がねーんだわ。それと痛てーから回復してくれ


 ニカッと笑うダフネの体中は黒く濁りヒドイ火傷だらけだ。


 ――ホーリーレイ!!ハイヒール!!ハイヒール!!ハイヒール!!


 ――あねご・・・・それ、一口もらっていいだろうか?


 ダルメシアン獣人のジラは巨大手羽先に釘付けだ。


 ――・・・・。ひ、一口だけだぞ?


 ダフネが巨大手羽先をジラに渡すと次から次へと私にも私にもと巨大手羽先の肉が消えていく。


 「こんなに人気なら、また用意するね!」


 ――まて!あたいのだぞ?!


 ダフネが取り戻したときには、ほとんど骨だけになっていた。


 ――あねご・・・


 出遅れた熊獣人のエプリンがつぶらな瞳でウルウルとダフネを見つめる。


 ――あー。あたいはここに来るまでに食ったしな。残りはエプリンが食っていいぞ


 エプリンは巨大手羽先を受け取ると、骨ごと食べてしまわないかと、心配になるくらいゴリゴリとかじりつく。


 ――それにしても、魔王に襲われるのも前代未聞なのに魔王を返り討ちにしたなんて誰が信じてくれるかしらぁ


 ――そうよね。ミーティングルームで対応を考えましょ


 「こんなにいっぱいいるとイスたりないね!追加のイス出しておかなくちゃ!」


 店が大繁盛のたまは、喜びでコアの周りをスキップするのだった。

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