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第73話 援軍②

 ――ウェイブウィップ!!


 ゴブリンをバチン!バチン!と次々はたき飛ばす。 


 ――アララ。おみごとよぉ


 ヘキシアがアララの鞭さばきに称賛を送る。


 ――ありがと!せっかく冒険者になりましたからには、唯一誰も到達したことがない武星8圏の鞭星を目指すんだから!


 アララを連れて都を出て2日、アララはゴブリンなら問題なく倒せるようになっていた。


 アララは自分が倒したゴブリンをマジックバックへ突っ込む。町についたら、魔石を取り出さなければならないからだ。


 ――きゃん!


 ――あら、あなたも称賛してくれるのね!ありがと!


 ――ヘキシア。蟲がおかしいと思わない?


 柴丸のリードを持つミュリーが、ヘキシアへ声をかける。


 ――そぉ?


 ――いつもなら蟲にたかられてるのに、今日は一度もないでしょ。それにホラあの蟲、ドラゴンクラッシャーシティーの方に向かってない?


 道端の蟲がコロコロとドラゴンクラッシャーシティーへと転がっていく。


 ――確かにへんねぇ。先行するわぁ


 ――支援をかけます。DEX大上昇、VIT大上昇、INT特上昇、異常耐性大、魔法耐性特、物理耐性大、魅了耐性特・・・


 ヘキシアはボフンという音とともに紫いろの煙の塊になり滑るように流れていく。


 ――速足するです!


 兎獣人のマーリャ隊長は耳をピーンとさせ指示を飛ばす。


 ――はっ!!


 ミュリー、第5部隊、アララは速足でドラゴンクラッシャーシティーを目指す。アララは息を切らしながらも、懸命にかじりつく。


 ――戦闘音聞こえるです!


 ――既にヘキシアが行ったけど援軍が必要だと思う?


 ――必要!この耳障りな音、死霊系!


 マーリャは間髪入れない。


 ――わかったわ!支援します。2人体制で順次先行してください!


 ミュリーがホーリーウェポンと支援をかけ、2人づつ飛び出すようにドラゴンクラッシャーシティーを目指す。


 ――私も!


 アララが強い意思をしめす。


 ――ダメよ。私と一緒に速足で向かいます


 ミュリーはMP回復ポーションをカパカパと何本も飲み、アララとともに速足で急ぐ。


 そして場面はたまの前に戻る。


 「世界が白銀にそまって!立役者の花がしおしおだよ?!」


 ――ヘキシア!待ってたぜ!


 ダフネが吠える。


 ――ブリザードストーム。蟲くらいにしか効かないけど広範囲よぉ。蟲だけはもう動かないわぁ。でも、来ないほうがよかったかしらぁ


 ヘキシアがふわりとダフネの横へつき見据えているのは、デッドフェニックスとベルゼブブだ。


 GGGGGGGGGYAH!!!


 デッドフェニックスは死の咆哮をあげると体の中をうごめいていた死霊が次々と噴き出す。


 『中級魔物ソウルイーター、バンシー、ハラワタ、下級魔物クネクネです』


 ――やっこさんは歓迎らしい


 ――いやよ。火属性は苦手魔法なのよぉ!ファイヤ!ファイヤ!ファイヤ!


 白銀にそめた魔法使いとは思えないほど、しょぼい火の弾を連発する。


 ――おらぁ!!


 回復ポーションをかけた斧をぶん回し回復ポーションをぶちまけて、死霊を攻撃するがひるませるのがせいぜいだ。触れられれば寒気が走り意識が朦朧とする。


 ――スピニングスラッシュ!!


 そこに飛び込んできたマーリャが、ホーリーウェポンのかかった双剣でダフネたちを取り囲んでいる死霊を次々と斬りつける。


 ――ふん!!


 マーリャとともに駆けた牛獣人のジューヌがホーリーウェポンのかかった斧の一振りで死霊を消滅させる。


 ――助かったわぁ。死霊はおまかせよぉ


 ――あねご!ホーリーウェポンのかかった斧!


 ジューヌはあらかじめ用意していたもう一本の斧を投げ渡す。


 ――おーっ!!おらぁ!!おらぁ!!おらぁ!!


 ダフネは斧を受け取ると、水を得た魚のように躍動する。


 ――でやー!!


 第5部隊の面々が次々と到着し、死霊の群れは目に見えて減っていく。


 ――いつまでも!高みの見物してんじゃねーぞ!!


 ダフネが走り、クランハウスの壁を蹴り屋根を伝って飛躍する。


 ダフネの振り下ろした斧が、ダフネの2倍の身長はあるベルゼブブの肩に突き刺さる。


 ベルゼブブの魔力が荒ぶる。胸部にある4本の手それぞれに持つ杖へ風の魔力が高まっていく。


 ダフネはベルゼブブの顔面を蹴飛ばして斧を引き抜く。


 ビルのガラス窓を投げつけたかのような魔法がダフネを襲う。1枚、2枚、3枚、4枚!


 空中に退避したダフネは、体をよじり、重心を変え回避回避回避。1枚、2枚、3枚、4枚!


 すべて回避したときデッドフェニックスの口が大きくダフネに向けて開かれていた。腐敗のブレスが炸裂する。


 BOOOOOOOOOOM!!!


 直撃したダフネはダンジョンの上の崖上へ森の木々をへし折りながら吹き飛んでいく。


 ――あねごー!!!


 僕の眷属に愚物がかなうわけないじゃないか。


 ふと、たまはそんな声を聞いた気がした。

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