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第72話 援軍①

 ――こっちにくるな、こっちにくるな、こっちにくるな・・・


 カイリリのつぶやきも虚しく、真っ直ぐに向かってくる。


 ――STR中上昇、DEX中上昇、VIT中上昇、異常耐性中、物理耐性中、即死回避、攻撃倍化、速度倍化、獣気解放・・・


 ダフネが自身へのステータス上昇を行う。


 ――デッドフェニックスに通常攻撃は効かないと書物にありました。回復ポーションをかければ少しは聖属性に近づきますが・・・


 ――トゥリーよく教えてくれた。全員かけろ。0じゃダメだ、1をつかみ取れ、それが冒険者だ!


 ――はい!!


 ――背中に乗ってる魔物がわかる奴はいるか?!


 「コアわかる?」


 『予備ダンジョンコア単体の精度ではまだ捕捉できません』


 ――魔物図鑑はえました!ベルゼブブです!


 サイリリが叫ぶ。


 ――っ?!


 冒険者たちは息を飲む。


 ――病魔王ベルゼブブ。蟲の大群を引き連れて、歴史上何度も国や都を滅ぼした魔王。通り過ぎたあとは必ず病気が蔓延し住むことすらできなくなる


 書物で得ただろう知識をトゥリーが淡々と語る。


 「魔王っているんだね」


 『現在、魔王はいません。冒険者の定義での魔王は歴史上7体ですが、本当の魔王は2体だけです。ちなみにその定義ではカースドラゴンも呪魔王になります』


 「柴丸がランクインしてたよ?!」


 ――あ。逃げる(小)がはえました!


 カイリリが叫んだことで、所々に笑いが漏れる。


 ――あたいは待つのが苦手なんだ。こっちから行かせてもらう、よっ!


 ダフネは助走して、回復ポーションをかけた槍を投擲する。


 ズバンと空気を引き裂いて真っ直ぐにデッドフェニックスへ飛んで行くが、物理攻撃無効のデッドフェニックスは気にしない。


 そして突き刺さる。


 GGGGGGGGGYAH!!!


 デッドフェニックスは死の咆哮をあげて怒りをあらわにする。


 ――回復ポーション効いてるぞ


 BBBBBBBUZZ!!!


 ベルゼブブが醜い音を発すると、焦がしたときの煙のように黒いモヤが見える範囲の至る所から立ち昇り、冒険者へ、ダンジョンに向かって膨れ上がる。


 「むしぃぃぃぃぃぃぃっ?!ってかウニ?!」


 迫ってくるのは柴丸にこんもりたかっていた蟲だった。


 ダフネは斧の平たい部分、ハーフエルフたちは盾を使って蟲をはたきおとす。


 数の暴力。次第に冒険者たちが蟲に飲まれ自分の手も見えないほどに視界が塞がれた時、花々がわなわな震え、ぱふん、ぱふんと花粉を飛ばすとモヤのように飛んでいた蟲はザラザラと地面に落ちてピクリとも動かない。


 ――っ?!いや!チャンスだ!!とうてーき!


 ハーフエルフたちは次々と槍を投げつける。


 小さく回避すれば回避しきれず、大きく回避すればダフネの強烈な槍が飛んでくる。


 BBBBBBBBBBBBBUZZ!!!


 今度は、ゴイン!ゴイン!と弾みながら迫る巨大なウニ。


 「蟲感ないよ!アクションゲームの触るとダメな奴だよ!」


 ダフネは斧の平たい部分、ハーフエルフたちは盾を使ってパカン!パカン!とはたき飛ばす。

 

 数の暴力。次第に冒険者たちが蟲に飲まれ隣の仲間も見えないほどに視界が塞がれた時、花々のしげみがわなわな震え、数百の茨のツタが飛び出し、バチン!バチン!次々と高速ではたき飛ばす。


 「お花さん、有能だよ?!」


 そして、なぜか世界は白銀に覆われた。

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