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第70話 王妃のお願い

 ナサレー大王が満足顔でお腹をさすっている。


 ――では。私のお忍びの話に移りましょう


 アララ王妃がドラゴンクラッシャーの面々を見つめ真面目そうな話をはじめる。


 「・・・す」


 『す?』


 ――お待ちください。確かに星読みであったミラグロサ姫をお忍びでお連れしたのには意味がありましたわ。ただ、王妃が移動される分には忍必要はないと・・・


 ヘキシアが王妃の突然の発言を否定する。面倒ごとの匂いしかしない。


 ――私もお忍びの旅したいの


 わがままをドラゴンクラッシャーに振らないでとヘキシアとダフネは考えを巡らす。


 ――お忍びをしたいのでしたら、ロイヤルガードをお連れください。ドラゴンクラッシャーには荷が重いです


 ――いやよ。ロイヤルガードと一緒だとアレもダメ、これもダメってなるもの


 ――ロイヤルガードがダメと言うものは、我々もダメと言います


 ミュリーがハッキリと言う。


 ――そんなことないわ。さきほど食べた回復アイテムにしても、ロイヤルガードなら許してもらえないもの


 ヘキシアとミュリーはチラチラと顔を見合わせては、王妃のお願いを断る言い回しを続ける。


 ――必ずしも回復アイテムは出るものではないのですわ。それに新世界のこともあり、王妃が長く都を離れるべきではないと・・・


 ヘキシアがお前はここにいろと強めに発言する。


 ――ヘキシアお願いっ!アララにもお忍びさせてあげてっ!


 ミラグロサ姫が王妃の肩を持つ。


 ――ミラグロサ姫・・・


 ウルウルとお願いしてくるミラグロサ姫にヘキシアは言葉を詰まらせる。


 ――我々も頑なに拒否しているわけではないのです。王妃はハンブルク王国のトップ、お忍びのできる身分ではございません


 ミュリーが意を決して指摘する。


 ――わかりました。レティシア姫。こちらに


 ――はい


 王妃の座る玉座の前にたつ。


 一変した空気に一同は何が起こるのかと固唾を飲む。


 王妃はゆっくりと立ち上がり、レティシア姫に近づく。


 ――レティシア姫。膝を


 ――はい


 レティシア姫は片膝をつく。


 王妃はレティシア姫の付けているティアラを外し、自分が装備している少し大きめのティアラをレティシア姫の頭に装備させる。


 ――レティシア姫。この国を頼みましたよ


 ――っ・・・はい


 ――あなた。先に2度目の隠居させてもらいますわ


 ――うむ


 巨人が右手で髭を撫でながら優しく答える。


 その場の者たちは、突然の王位継承に驚愕する。


 ――ドラゴンクラッシャーの皆様。アララ王妃の、いえ、アララの願いを聞き届けなさい!これは命令でしてよ!


 ――はっ!!


 すやー


 「すぴすぴ、すぴすぴ」


 『たま様。どうやら、話は終わったようですよ』


 「すぴすぴ、すぴすぴ」


 『たま様?たま様?』

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