第59話 湿地の襲撃
翌々日。ミラグロサ姫、ヘキシア、ダフネ、第4部隊、スタッチェルハーケンは朝早くから出発し順調に移動をしていたが、地面が少しづつぬかるみはじめ、今はくるぶしまで沈み込む湿地を進んでいる。
――少し霧がでてきたな。アインス!霧がでてきた!距離に気をつけてくれ!
ダフネが先行するスタッチェルハーケンに注意を促す。
――わかった!
――方円の陣形!!
――はっ!!
リンリリ隊長が指示を飛ばし、ミラグロサ姫を囲むように隊列が組まれる。
それから30分もしないうちに、数メートル先もわからない霧にのまれる。
――ちょっとぉ?真っ直ぐすすんでるのぉ?
ヘキシアが疑問を口にする。
――ああ。スタッチェルハーケンの足音は捉えている大丈夫だ
ガイィィィン!!
――襲撃ぃ!!!
どこからともなく飛んできた矢をトゥリーが盾で受け、それを皮切りに次々と矢が射かけられる。
「どうなってるのコア!?」
『何者かが霧に隠れ襲撃した模様です』
「ぜんぜん見えないよ!コア何とかならない?」
『ダンジョン外の霧の操作はできません』
ダフネが耳をすまして集中する。
――なっ!?
ダフネがおかしな方向から飛んできた矢をはたきおとす。同時に轟音魔法が炸裂しはじめ、とてもじゃないが敵の位置を読めない。
――うっとおしいわね!プチメテオ!!
霧の中、霧全体が真っ白に光り輝やいたあと、大きな衝撃が辺りに響く。
――やめろ!こっちまで巻き込まれる!!
轟音魔法が消えた合間にアインスが非難を叫ぶ。
――やーねぇ、そんなに近くに落としてないわよぉ
――ねーちゃん!
リンリリ隊長をとっさにかばったカイリリの左腕に矢が刺さる。ガクッと膝をつくカイリリ。
――カイリリ?!
――らいじょぉぶ、まひぃろくらっ
小型のマジックバックから解毒ポーションを取り出し飲むが、直ぐには回復しない。それでもカイリリは盾を構え踏ん張っている。
柴丸のアクセサリーがピカリと光り、方円の内側に宝箱が現れた。
――あけうっ
麻痺していて足手まとい状態の自分が開けるべきと判断し、回復アイテムと考えてパッと宝箱を開く。
ゴォォォッ
ゴォォォッ
ゴォォォッ
宝箱から1メートルくらいの竜巻が次々と飛び出してくる。
――こんなときに限って罠?!
リンリリ隊長が叫ぶ。
飛び出した竜巻は方円の陣形をしている第4部隊のまわりを回りながら、次第に大きくなり、矢の軌道も捻じ曲げはじめる。
――ちょっとぉっー?!
唯一ローブを着ているヘキシアは風をもろにくらい映画のワンシーンのようにめくり上がらせ、黒のセクシーなショーツがあらわになる。
竜巻は霧を上空に巻き上げながら広がっていき、第4部隊を中心に霧が晴れていく。
「じゃじゃーん!サイクロンだよ!」
『ダンジョンポイントの無駄遣いです』
スタッチェルハーケンと敵の影が見えはじめる。
――っ?!俺たちが追う!お前たちは護衛を!
アインスが叫び、敵の影を追って走り出す。
――種族特性の赤外線視覚ねぇ
敵の影からヘキシアがヘビ獣人であったことを推察する。
――アインスの方からも弓がきた。それに奴は霧が晴れる前に弓を持っていた
「まさかの衝撃の事実だよ?!」
――騒がないほうがいいわぁ、少し泳がせておきましょ?
――ああ
ダフネはニヤリと狡猾な笑みを浮かべるのであった。




