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第58話 初めての旅

 ――ロサの様子はどうだ?


 ――問題ないみたいねぇ


 ご隠居モードの柴丸のリードを持って楽しそうにしているミラグロサ姫に視線を向け、ヘキシアとダフネが話し合う。


 ――まさか初日から(星読みが)発現するとはな・・・


 ――ひとつ黒き星落ちるされどみっつの黒き星に吸収される。意味はさっぱりねぇ


 スタッチェルハーケンのアインスがヘキシアに近づいてくる。


 ――もっと速くならないか?


 ――無理ねぇ。旅なれてないものぉ


 ヘキシアがミラグロサ姫をチラッと見て伝えると、イライラした様子でアインスは仲間の元へ戻っていく。


 ――あたいら冒険者の半分も速度が出てねぇからな。日程は何とかってところか?


 ――そうねぇ


 その日は暗くなる前にキャンプを設置し、翌日、朝早くから出発することにした。


 ミラグロサ姫は回復ポーションをちょびちょび飲んで昨日よりはペースをあげている。


 ――そろそろだよな?トゥリー、レッリー、サイリリ、少し離れてついてきてくれ


 ダフネは柴丸のリードをトゥリーに渡す。離れていく柴丸を見てミラグロサ姫は少し残念そうにするが柴丸と戯れている余裕はなく、ふーふーと歩みを続ける。


 ――あねご。出ましたが、スタッチェルハーケンにも、また確認しますか?


 離れていたトゥリーたちが大量の弁当を持ってダフネに話しかけ、リードを渡す。


 ――もう一回くらい声かけるのが筋だろ?奴らの分も出たんだろ?


 ――はぁ・・・・


 トゥリーが溜息を吐く。


 ――声かけてきた奴は確定でいいぞ、いらないって返事だったらだけどな


 ――っきます


 話を聞いていたカイリリが素早く動き出し、斥候として先行しているスタッチェルハーケンに声をかけ回復アイテムを譲るが必要かたずね、顔の前で手を振りながら戻ってくる。


 ――回復ポーションで十分だそうです。あと、休憩も打診してきました。休めそうな場所で止まるそうです


 数分後、手のひらでせき止められそうな小さな川のほとりで休憩をとる。


 こちらの世界のジャンケンは、手のひらに石を0から2個隠して、参加者全員の和が偶数か奇数かを一斉に発言して当てる仕組みだ。


 ジャンケンに負けた者は、早々に自分の弁当を食べ始め、勝利した4名とカイリリは2つの弁当を楽しむ。宝箱から出て30分で消滅してしまうため、せわしなく食べる。


 ――この酸っぱいのいいわっ


 ミラグロサ姫は梅干しがお気に入りだ。たまは最初の弁当に種のままで入れたがみんな種を食べてしまったので、今は食べられるもの以外を抜いている。


 ご飯の合間に飲む味噌汁も格別だ。その雰囲気はたまにも伝わる。


 冒険者たちは、食べ終わるとすぐに出発する。


 いいペースで進んでいく。


 ――順調に進みそうだな


 ――ええ、そうねぇ


 ――疲れたらいってくれ


 ――大丈夫よっ!


 ふーふーと額に汗を流しながら歩みを続けるミラグロサ姫はどこか楽しそうだ。


 「頑張り屋さんだよ!明日も体力の付きそうなお弁当にするよ!」


 駅伝を見るおばちゃん感覚で、たまは応援するのであった。

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