第53話 シューティングスター
ビアジョッキはビァーガーデンでそのまま使われることになった。
しこたま飲んだヘキシア、ダフネ、ハーフエルフたちは、ビァーガーデンを出てフラフラとクランハウスへ帰る。
――きゃん!
リードがピーンと伸び遅いぞ遅いぞと柴丸が先頭を歩く。
――なんか、向こうの方から悲鳴が聞こえねー?
ダフネが視線を向けた側の都は異様に暗い。星の光が消えている。
――私にはわからないわぁ?
――確かに聞こえます
カイリリにおんぶされたリンリリ隊長が答える。
――私が飛んで見てこようかしらぁ?
――その必要はねぇ。だんだん近づいてきてる
ゆっくりと空の星を覆いながら何かが近づいてくる。
うっすらと柴丸の耳にも悲鳴と怒号が聞き取れ、予備ダンジョンコアへ反映される。
――空の魔物に攻撃してはいけないと兵隊が叫んでいます
――なんだいありゃ?空を覆うほどの巨大な袋が浮いてるぞ
――私にはまだ見えないけど、ジバクーンかしらぁ?
――ジバクーン?
――遠距離攻撃無効の自爆する魔物よぉ。自爆すると辺りいったいを消滅させる大爆発をおこせるのよぉ、さらに~自爆すると大きな魔力波動を出すから何を呼び寄せるかわかったもんじゃないわぁ
――んーなんか、ぼと、ぼと、落ちてきてるぞ?
べっとりとした大きな何かが、時々、空に浮かぶ巨大な袋から剥がれ落ちて建物にへばりつく。
BBBBBBBBBBBECYA!!
べっとりとした何かは建物にまとわりつくと、目玉と翼を槍のように飛び出して咆哮をあげる。建物の中にいた人々は脱兎のごとく逃げ出す。
「どらごん?」
『全長15メートル。ナメクジドラゴンです』
「塩よ!柴丸通して塩をぶっかけるのよ!あ?!素材で出せないよ!!」
――ジバクーンしゃべってるです?
カイリリがジバクーンの一部を指さす。
――僕は男爵だぞ!見ろ!この夜空は僕のものだ!!
うっすらと柴丸の耳にもとらえる。
「コア?しゃべる魔物化?」
『中級魔物程度に意志なんてありません。たまたま、素体が変化するときに近くに転がっていた首がくっついただけでです』
「スプラッターだよ?!」
『首はオブジェクトみたいなものです』
「辛辣だよ!」
『ちなみに、たま様の本体は空間自体で、体はオブジェクトみたいなものです』
「わたしもセットのポテトだったよ?!」
――なんで奴が、魔物の一部になってやがるんだ?まぁ、攻撃できねぇなら、ほっとくしかねーか
――ナメクジドラゴン退治ぃ、手伝うぅ?
顔の赤いヘキシアはダフネにもたれかかりながらたずねる。
――いや、必要ねーよ。ここは都だぞ。ほら言ってるそばから
建物の明かりに照らされる漆黒の鎧。眼帯のおっさんが建物の上を跳び渡り魔物へ向かう。
――シューティングスタースラッシュ!!
建物の何倍もある斬撃が、建物ごとナメクジドラゴンを斬り裂く。眼帯のおっさんは直ぐに次の魔物へと建物の上へと飛び上がる。
――そうねぇ。クランハウスへ戻って寝ましょ~。ふぁ~
――きゃん!
「待って!いかないで!きっと、これから右目が解放されるから!」
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○○「愚物も少しは面白いことするなー。でも、損害出てないよ。むしろ剣星のが損害出してないか?」




