第49話 剣星
大岩に腰を下ろした巨人のナサレー大王、その横の玉座に座った王妃、レティシア姫、ミラグロサ姫、中年の眼帯男、ヘキシア、ダフネ、第4部隊のハーフエルフたち
柴丸である。
――ドラゴンクラッシャーにお願いしたいのはミラグロサ姫が城から出ている間の護衛よ。ミラグロサ姫は星読みのため戦闘スキルを持っていないの。お願い出来て?
王妃がゆったりと話す。
――はっ!!必ず
ヘキシアが王妃の命令を受諾する。
柴丸は漆黒のプレートメイルを装備した中年の眼帯男が気になるのか、トゥリー、レッリー、サイリリにおさえられながらジタバタとしている。
「柴丸って♂かな♀かな?」
『魔物に♂も♀もありません。そもそも、魔物カスタマイズしたのたま様ですよね』
「カスタマイズで、そんなとこ見てないよ!仕方ない・・・」
『どうでもいいですね』
――アララ~。ピンクと黄色のドレスアーマーも持っていっていいっ?それと画家も連れてくのっ!
――王妃と呼びなさい。旅行ではないのよミラグロサ
――え~じゃあーじゃあー!エルベルヘルは連れっていいっ?!
眼帯のおっさんに手を振ってアピールしている。
――王国将軍は王国を守るのが任務なのミラグロサと行くわけにはいかないわ
ミラグロサ姫のわがままと王妃の諭す言葉だけがホール内で続けられる。
その場の誰もが表情を変えずに、ただただ、王妃と姫の会話が終わるのを待っている。
「じゃじゃーん!柴丸男装の麗人モードよ!」
ぼふん!
柴丸は青色の中世の軍服姿に変身する。
トゥリー、レッリー、サイリリはしっかりおさえていた。それでも、ご隠居モードからの装備変更による空間湾曲により若干の隙間ができたことで、柴丸は飛び出す!
――きゃん!
ダン!
ダフネが動き柴丸をとらえるが、力加減に失敗したら潰してしまうと柴丸をつかみきれない。
柴丸は華麗に抜け出しフットワークで追随するハーフエルフたちをかわしながら眼帯のおっさんへ飛びかかる。
『不味い封印を解いてください。隻眼のダークシューティングスター。剣星のエルベルヘルです』
ヴほっ
「ヴほっ・・・ゲホゲホ・・・ひひ、ひ、コア!しゅ、しゅーてんぐ、ひーぃ、ひひー、ひーぃ、わらかさないで!」
エルベルヘルが困ったようにバックステップで回避し、ダフネとハーフエルフたちが柴丸を追っかける。
『エルベルヘルの前にたち無事だった魔物はいません。すぐに封印を解いてください』
ちらっ
ヴほっ
「ひひ、ひ・・・ひひ、ひ、こ、こっきゅう、ひーぃ、ひひー、ひーぃ、柴丸にじゃれられて困ってるおっさんだよ!わらかさないで!」
たまは、天井の一点に視線を集中し、口を半開きにして笑いをこらえる。
『剣星に斬れぬものなし。剣星の放つシューティングスタースラッシュはグランドドラゴンの鱗すら斬り裂きます』
ヴほっ
「ひゃひゃひゃ!ひー!・・・斬れぬものなし・・・ぶひゃひゃひゃ!ちゅ、ちゅーにぃ~、ひー!」
――どうしたらいい?
――きゃん!
エルベルヘルはポリポリと頬をかきながら回避し続けていたがタンと真上へジャンプして10メートル以上の高さにある天井に握力だけでぶら下がる。
柴丸は獲物に天井へ逃げられたが、ダフネやハーフエルフたちに追われているのは変わらない。トゥリーとレッリーの間を抜け、サイリリの股をくぐり抜け、絶対の防御陣地を見つけて走りこむ。
――きゃん!
――レティシアねー様?!
絶対の防御陣地。レティシア姫のスカートの中へと逃げ込んだ。
ダフネもハーフエルフたちも、スカートの中には手を入れられない。
柴丸がこそーっと様子を見るために顔を出す。
バッ
――捕まえましたわ!
――レティシアねー様すごいですっ!
レティシア姫が高々と柴丸を掲げるのであった。
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○○「どうして国境での小競り合から発展しないんだよー。んー?」




