第40話 バグ
ドドドドドドドドドッ
ドォォォッン!!!
ダンジョン内の入り口でファランクスの陣形を取っていた第4部隊に、全速力で突っ込んできた馬獣人たちが衝突して土煙が立ち昇る。
「けほっけほっ、けほっけほっ。コア?!ダンジョンに外から攻撃できないって!」
『攻撃ではありません。ただ、入ってきて押し込んだだけです』
「何が違うのよ?!」
『ダメージが乗っているか、いないかになります』
――こうげき!!
リンリリ隊長の命令が走り、盾と盾の間から槍が飛び出し馬獣人たちを襲う。
――エリアヒール!!
苦痛に顔を歪めマレーが展開する回復魔法で馬獣人たちは、槍を受けながらも回復していく。槍を受けている馬獣人たちは何もしない。
――な、何んで、ぼぉーっ突っ立ってるんだ?!暴れろよ!暴れろ!暴れろ!
突っ込めから、暴れろの命令に変更された馬獣人たちは暴れる。A級冒険者の緻密な連携も考え抜かれ繰り返されたフォーメーションもなく暴れる。
馬獣人たちの蹴りが、前後左右、敵仲間関係なく狂気を振りまく。血だらけになり暴れる馬獣人たち、狭い空間で盾を重ねてコアを必死に守るハーフエルフたち。
ダフネは手を伸ばしギルメッシを引っ張り出そうとするが、ギルメッシは変則的な鎖の軌道に振り回されボコンボコンと跳ね飛びつかめない。
「ちょっとー!火あるから!危ないから!」
たまは必死に七輪を守っているが、たまも七輪も物質的な影響はなく貫通している。
やっとハーフエルフたちは槍でゼブラを床に押し付けることに成功するが、もがくゼブラの跳ね上げた足がギルメッシの顔面にヒットする。
普通の冒険者では即死ダメージの攻撃も奴隷の首輪による所有者への手加減が発生し生き延びたギルメッシは、気絶しながらダンジョンから押し出され吹っ飛んでいく。
ダフネは気絶したギルメッシを避け、ダンジョン内に飛び込むと傷ついた仲間たちへハイヒールを飛ばす。
ゾクリ
冒険者たちは首に鎌を当てられたような悪寒が走り、ギルメッシへと視線を移す。
10メートルはある真っ黒な鳥型の魔物が、急降下してギルメッシを巨大な1本脚でつかみ上げる。
ヘドロのような体の中は死霊が蠢き奇声を発している。
「きもっ!」
『デッドフェニックスです』
ミュリーは直ぐに魅了耐性大を自身にかけ死の誘惑を断ち切り、デッドフェニックスへハイヒールを連発して死の香りを弱める。
GGGGGGGGGYAH!!!
デッドフェニックスは死の咆哮をあげて空へと昇り悠々と飛んで行く。町の人々は騒ぎから距離をとっていたので即死した者はいないが生気を失いフラフラとしている。
――ぼーっとしない!優先順位1位はゼブラたちでしょ!
――はい!!!
ゼブラたちはヒールを施されるが体をまともに動かせず、ダンジョンの床に寝かされている。
――クランハウスへ運ぶか?
――いいえ。今はダンジョン内だから所有者がいなくてもペナルティが発生してないけど、ダンジョンから出すと激痛が発生するわ
ダフネの言葉をミュリーはエルフの知識で否定する。
――何とかする方法はないのか?
――あるわ、呪術師の私の父なら外せると思う
――ミュリーの父ってことは、エルフの里だろ?!往復で1年もかかるじゃねーか!!くそっ!!
――きゃん!
柴丸が奴隷の首輪をペロペロしていると、首輪からどこかへ伸びる魔法の鎖が消失していく。
「柴丸が変な物食べてる?!」
『カースドラゴンですからね。呪いは回復アイテムのような物です』
「いや!ダメよ!お腹壊しちゃうから、ぺっっしなさいぺっっ!」
たまのぺっっはなんともおばちゃんくさい。
柴丸のおかげで禍々しかった首輪はすっかり綺麗になり、5人の馬獣人たちは体の自由を取り戻すのであった。
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○○「近くに眷属を待機させてて何とかなったよ・・・デッドフェニックス!その愚物をベーリン帝国の軍隊に投げつけておけ!!」




