第36話 柴丸①
――きゃん!
柴丸は護衛しているハーフエルフたちに向かって勇ましく吠える。
――くっ?!ここは私が!ぁねごを呼んできて!
――わかった!直ぐに戻る!
ハーフエルフのシャリーがダンジョンの外へと駆け出し、カイリリが槍の石突を柴丸に向けて牽制する。
「コア!人がいるとダンジョンに魔物を配置できないんだよね?!」
『配置ではなく排出です。マスター空間でマスター以外の存在は24時間以上とどめておくことはできません』
「そんな?!」
――きゃん!
柴丸が槍に噛みつく。カイリリは槍をおられる覚悟で受け止めるが、かぷっかぷっからは衝撃すらこない。
カイリリが槍を右に動かす。こっろん。左に動かす。こっろん。
――くぅぅん
――ぐはっ?!
思わずカイリリが手を差し伸べる。
キラーン
チャンスと見た柴丸はカイリリの顔面に飛びかかる。カイリリはあまりの衝撃のなさ、いや、モフモフに衝撃を受けて背後に倒れる。
てしてし
柴丸がとどめの肉球連打を繰り出す。
てしてし
仲間を呼びにいったシャリーはダンジョンを出て距離を取ると、緊急事態の指笛を吹く。
クランハウスから飛び出すダフネ、ミュリー、森や家から飛び出す第4部隊の面々。
ダフネはシャリーとのアイコンタクトでダンジョンへ飛び込む。しかし、ダンジョン内ではゴブリンと思われる魔物がカイリリの屍にのり、カイリリの顔面を貪っていた。
――なっ?!あたいがくだらない命令したために!!許さんぞ!ゴブリン!!
ダン!
ダフネの剛腕がカイリリからゴブリンを引き剥がそうと伸びる。
――潰れるだろぉがぁっ!!
カイリリは俊敏な動きでダフネをかわし、柴丸をだきかかえながら、ダフネのみぞおちへ石突を繰り出す。
――ぐほっ?!・・・・ア、アンデットか?!
――アンデットがしゃべるかぁっ!!あねごの命令で攻撃せずにいたのに、あねごが破ってどうすんだぁっ!!
ミュリーと第4部隊が現場に到着する。
――カイリリ、ダフネも落ち着きなさい。で、落ち着いたら説明して
ミュリーが説明を促すが、カイリリの脇にいた柴丸が暴れ、しゅたっと着地し胸を張りながらトコトコとミュリーに近づく。
――きゃん!
――ッ?!
ミュリーは妖精のささやきに心を揺さぶられ膝から崩れ落ち、わなわなと震えながら口をおさえる。そんなミュリーの膝に柴丸はてしてしと攻撃する。
集まっている人たちの柴丸を見る目が次第に暖かな目に変わっていく。
「家の柴丸が受け入れられたよ」
初めての公園デビューを見守った母の心境であった。
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○○「なんだあれ?んんだよあれ!戻るのかよ?!戻せるのかよカースドラゴンに?!」




