第31話 ギンガムチェック
「コア。わたし思い切ろうと考えてるの」
『何をですか?』
「模様替えだよ」
『ようやくですね。ドドーンとやりましょう』
「壁紙をピンクと白のギンガムチェックにしようと思うの・・・迷ったんだよ。高級化粧品メーカーのような黒や青紫もいいから」
「それだけですか?」
『そ、そんなわけないよ!コアから見て左側に大きな部屋を造ろう思うの!』
『ドドーンとやりましょう』
「わかったわ。思い切って7メートル四方の部屋だよ!」
『700メートル四方の部屋を造って、ベヒーモスの配置でよろしいですか?』
「どこにそんな大きなスイーツ店があるのよ!コアの前で毎回せまいかなと思ってたの」
『意味がわかりません』
「だって、このままだと立ち食い店じゃない!ぎゅうぎゅうになって食べてるんだよ?」
『意味がわかりません』
「もう!模様替え反対なの?!」
『罠と絶望は賛成です』
こうして、たまとコアは話し合い、冒険者たちがいないタイミングを見計らい一気に模様替えをする。
――・・・何がおこった
――ええ
ダフネとミュリーが絶句する。集まってきた人々も絶句している。
「あ、やっちゃった感が半端ないよ!これ、近所で人気の定食屋が改装したらハイカラ過ぎて受け入れられなくなるやつだよ!」
『本当に、こんなことを話すんですか?聞いてるのたま様だけですよね・・・わかりました。やります』
改装前はデコボコした洞窟の壁、それがどうでしょうか?
匠の手にかかった今はスッキリとした壁にオシャレなピンクと白のギンガムチェックの壁紙、天井と床は白のタイルで統一されています。
――よし!いくぞ!
――ええ。みんなもいいわね?
――はい!!!
「ほっ。入ってくれたよ」
1階の部屋の隅には、改装前と変わらずに、ふわふわ乙女チックランタンオブジェクトが美しく光り輝いています。
――ボス部屋だな?
――ええ。でも、コアがボス部屋の前にでてるわ
――・・・・
――人数制限なし、全員でいくぞ
――おまちください
――なんだ?
レティシア姫のメイド、エリーカとユリーカがダフネたちを止める。
――私たちも、お供します。何かあった際は城へ手紙を転写できます!
――いいの?とっても危険よ
――私たちはロイヤルメイドです!遅れを取ることはありません!
プラチナブロンドのメイドのエリーカが強い意志をしめす。
――わかったわ支援します。STR大上昇、DEX大上昇、VIT大上昇、INT大上昇、異常耐性大、魔法耐性大、物理耐性大、魅了耐性大、あと、魔法反射、物理反射、轟音反射、即死回避・・・
呪文の詠唱が10分続いた。
「早く入ってほしいのにー!」
ダフネ、ミュリー、ハーフエルフの第4部隊、ロイヤルメイドの2名、カワセミ獣人のノノノンが一斉にボス部屋に突入する。入るとき歩くのが苦手なノノノンが転んだのはヒミツだ。
なんてことでしょう!立ち食いでぎゅうぎゅうだった店の何もなかった空間に7メートル四方の部屋。しかも、4人掛けのテーブルが五つもあります。
――ミュリー。これは・・・
――ええ。第2宝箱じゃないかしら
ダフネがずかずかと一番手前のテーブルに乗った宝箱を開くと、連動して他のテーブルに乗った宝箱も開く。
「じゃじゃーん!飲み物とチョコレートクリームパフェよ!・・・13人だから2テーブルは紅茶で2テーブルはコーヒー。えへへ、新装開店だから豪華にしたの!」
――せっかくだし食べましょ
――そうだな。みんな食うぞ
メイドたちは、いつも通りに転送を済ませると頬を緩ませて食べ始める。
――少し問題ね
――ああ
――宝箱を開くまでとはいえ全員が閉じ込められてしまうもの。それにもし、開かなかったら
――部隊を2つに分けるしかないな
冒険者たちの手が止まる。すなわち、食べられる者と食べられない者にわけられるのだ。
――あの・・・
ダークブロンドのメイドのユリーカがおずおずと話しかける。
――なんだ?
――隣の部屋までの距離ならMP回復ポーションを3本飲んで1回転写できます
それなら安心だと、冒険者の手が動き出す。
しかし、たまは決めた。ボス部屋の扉を閉めないことを。引っ越した家であまりに人が通る所に扉があり常にあけ放たれるようにあけ放つと。
『閉まらないボス部屋。そもそもボスいませんよね』
――――― ――――― ―――――
○○「くそっ!ボスを配置するつもりかよ?!それまでにダンジョンを破壊してやる!!」




