第21話 白魔の誓い
――わし、とっとと工房に戻って幻の剣の研究をしたいんじゃが?
――いえ。せっかくきたのですから、第2宝箱も見ていってください
ミュリーがドノフの腕を引っ張って、ダンジョンにやってくる。
――ジューヌ。開けて
――はっ!
牛獣人のジューヌが宝箱を開くと宝箱が消失し、テーブルとその上に白い液体の注がれた茶碗と和菓子が10人分現れる。
「じゃじゃーん!どぶろく寄りの甘酒とみたらし団子2本づつよ!・・・ドワーフがきたから酒にしたのに帰っちゃったかとおもったよ!」
――あっ・・・ドノフおじさま、ごめんなさい、今まで毒なんて出たことなかったのに
「失礼ね!毒なんて入ってないよ!」
――いや、待て、なんだこの感覚は・・・・
ドノフは鼻をクンカクンカさせ、ゆっくりと茶碗に手をつけ口元に・・・
――ドノフおじさま!毒です!
――思考低下(極小)とふらつき(極小)と興奮(極小)、問題ねーいいから飲ませろ
ドノフは茶碗に口をつけグビリと飲むと、クワッと目を開く。
――大丈夫ですか?
――こいつ、全部もらっていいか?
――ダメです
ミュリー筆頭に次々と茶碗をとり飲み始める。
――(いままで飲んだ中で一番不思議な感じです)
――なるほど。こいつは草の種を錬金したものか、毒を造るのも草や茸だ。だが、この匂い・・・わしの奥の何かが揺さぶられるぞ
甘酒の中に薄っすら残る米粒を見て考察を高める。
――みんな!見てコレコレ!きっとコレよ!
ミュリーが栗鼠黄門シリーズ、第4弾、ちゃっかりはちべ栗鼠の人形が持った団子を指さして見せる。
――本当です
双子の猫獣人のセプテーとオクテーが団子をモチモチ食しながら同時に答える。
それから5日間、ドノフはドラゴンクラッシャーシティーにとどまり錬金を続けた。
「コア。夜なのに空が薄っすら白いよー」
『白魔ですね。どこかでホワイトドラゴン飛んでいるのでしょう』
ドノフが瓶を片手にダンジョンにやってくる。
――邪魔するぞ
ドノフがコアの前に立つとおもむろに瓶を持ち上げる。
――っ?!やめる!!
双子の猫獣人のセプテーとオクテーが短剣をドノフに向ける
――コレをかけるだけじゃ。壊しはせん
――任務です!!ダメです!!
――そこを推して
ドノフの真っ直ぐな視線を受けセプテーとオクテーは腹をくくる。
――絶対に、ぜーったいに、ぜったいの、ぜったいに!壊したらダメですよ!!
――ああ、違えん
ドノフは瓶を傾けトクトクとダンジョンコアに液体をかけていく。
「いやいや!守りなさいよ!ガードマンでしょ?!コア、大丈夫?!」
『思考低下(中)、ふらつき(小)、興奮(小)、怪力(小)。わたくしに状態異常はありません』
「って、くさーい!コレ、お酒だよ!!」
――まだまだ、完璧じゃねーが錬金できたぞ。どうだ?
ドノフはドカリと地面に座り、ぐい呑みに酒を注ぎぐいっと飲む。
――毒なんて名前で呼ばれたくないんでな、直観でコレはサァケって名前にすることにした
――ドノフ~、ぜ~たい~、こわしちゃ~だめれーす!キャハハ!
――セプテーねーさん。黒いの入ったモチモチ~、ほっぺた落ちる~、しくしく、黒いの入ったモチモチ~
――サァケの匂いだけで当たりやがった・・・獣人にはきつかったか?
ドノフはズルズルと双子をダンジョンの外に放り出すと何も言わずに、ぐい呑みを空け続けた。
「コア。ここに宝箱だして」
ドノフの横に宝箱が現れる。
――わしにじゃろうな
ドノフは罠鑑定も罠感知も一切せずに開く。
「じゃじゃーん。麦とホップの甘酒とキンキンに冷えたビールだよ!」
――こいつは、植物の種が違うがこの前と同じだな。ごくごく。でこいつは・・・ごくっ、ごくごくごくごく!ぷはぁ~っ!!
甘酒を飲み、ビールを飲む。
――なるほど。サァケが先にあったように、こいつの先にこいつがあるってことかよ
笑ったり、泣いたりしていた双子は静かに寝息をたてている。
――クククッ、ガーハハハッ!もし、このダンジョンに敵対する奴がいたら、そいつはドワーフ族すべての敵だ!このドノバン・ドノフの名に誓って!!
ドノフはのしのしと歩きそのままドラゴンクラッシャーシティーを去っていった。
「酒を飲んで気が大きくなることってあるよね。わかるわかる。そして二日酔いで後悔だよ」
翌朝、ダンジョンの前で寝ている双子にミュリーの雷が落ちたのだった。
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○○「えっ?ドワーフ族の首領を味方につけたの?!なんなんだよ!益々、動きづらくなるよ!」




