第12話 クランハウス
――ふぁぁ。おはよぅ
ヘキシアはくねくねと歩き最後にダンジョンに入ってきた。
――それじゃ!宝箱を開くぞ!
――ねぇ?ダフネ。ポーションが出るなら、戦闘後でいいんじゃない?
――いや。前のがだんぜん妖精のささやきが弾む。あたいを信じろ
――そぉ?
――開くぞ!
宝箱を開くと宝箱が消失し、テーブルとその上に紅茶の注がれたティーカップとケーキとフォークが10人分現れる。
「じゃじゃーん!ロイヤルミルクティーとミルクレープよ!・・・9等分に切るより簡単だと思ったら10等分も難しかったんだからね!」
ダフネがフォークに刺してわんぱく食いをする。
――おう!今日も、妖精のささやきが弾むぞ!
ヘキシアはマジックバックから試験管に入った紫色の薬を取り出す。
――おいおい、ちょっと待てヘキシア。それをどうするんだ?
――どうって?毒反応薬よ。これは最新の王家御用達のよぉ
――あのぐぇぇぇってなる奴だろ?悪いことはいわん。どうしてもかけるなら半分だけかけて、かけないほうを食え
――うーーん。わかったわ
ヘキシアはマジックバックからナイフを取り出し、ミルクレープを10等分に切り刻み、そのうち5個にロイヤルミルクティーをかけ、その上から紫色の薬をかける。その瞬間、ゴムを焼いたような匂いがむわっとひろがり、冒険者たちはヘキシアから距離をとった。
「くっさ?!コアこれどうにかできない?!」
『30分もしたら食器と一緒に消えます』
「えーっ!それまでこのまま~」
――変色なし。毒はないわね。じゃ、試してみるわ~
分けておいたミルクレープをナイフで刺して口に運ぶ。ヘキシアの目の瞳孔はゆっくりと引き絞られる。パクパクパクパクと残りを食べクイッとロイヤルミルクティーを飲み干す。
ヘキシアの目は、毒反応を確認したミルクレープだった物体と他の冒険者の食べかけのミルクレープとの間を彷徨う。
――ねぇ、あなた、私のコレと・・・
その瞬間、冒険者たちはミルクレープを一気に口に突っ込んだ。
――ヘキひアはん。もぐもぐ。ふぁんでしょうか?
――なんでもないわ!
――よし、それじゃ!ウッドクラフト魔術を発動して第4クランハウスを建てるぞ!
――おー!!!
巻貝型の小屋を造った時の5倍以上の木が積まれた山にダブルベットのシーツぐらいありそうな魔術の書かれたスクロールが貼り付けられた。
――最終チェック、魔法陣スクロールOK、対価木材OK、魔石OK、魔方陣に魔力供給!
リンリリ隊長が魔力を流すと魔法陣を中心に緑色の光が輝き、荘厳なパイプオルガンから流れるような音が響きだす。
緑色の光は積まれた木々を光の粒子へと変換し、楕円型の形状へと変化していく。
最後にひときわ大きな光を放つと、そこには木でできたあわび型の建物が建っていた。
「すごい!ふごい!もぐもぐ。またふぇんなかたふぃ~!」
たまはホールのミルクレープをフォークでつまみながら感動する。
――2人体制!
――はい!!!
――クランハウスに障壁魔術をかけるわ。強い衝撃には耐えられないから全力で守るのよ!
――はい!!!
BOOOOOROOOOOOR!!!!AAAAAAAAAH!!
シーンとした後に森全体が震えたと錯覚するくらい、ズドーンと叫び叫び叫び絶叫!
前回とは比べほどにならないほどの魔物がとめどなく森や崖上から飛び出し突撃、空からも飛翔する魔物が滑空する。2人体制の冒険者たちは着実に1体1体受け止め潰し、ダフネは斧一振りで前方向の魔物らを切り飛ばす。
――障壁は完了よ~。大魔法1発いくわね~
ふわりと浮き、建てたばかりのクランハウスの屋上に乗り、身長ほどの杖をふり上げると上空に水色の光が集まっていく。空の魔物は魔力の奔放に巻き込まれ消滅。
――エキィシッティナリィーウェイブ!!
上空に集まった水色の光が、広場を包むくらいのドーナツ型の水の塊になり、ストンと落下した。水の輪は広場を中心に外方向へ津波となって魔物を押し流していく。
辛くも津波から助かった魔物、津波の範囲外にいた魔物が、死を知らないかのようにビシャビシャと水面を走り再び押し寄せる。
――もう1発よ~
――サンダーレイン!!
ズガガガガッ!!!
降り注ぐ雷が、魔法でできた水に吸収され、濡れていた魔物らを次々と炭へ変える。
圧倒的力でねじ伏せられたのにもかかわらず、魔物らは押し寄せることをやめない。時々、大木を投げる大きな魔物も現れるが、直ぐにとどめを刺されてマジックバックへと消えていく。
たまがそろそろ終わるかなと思った。その時!!!
OOOOOOOOH!!!
戦場は強者の気配で塗りつぶされた。
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○○「もっと辺境だったら、潰す手なんていくらでもあったのに・・・都が近すぎなんだよー。どーしよーかなー。どーしよーかなー」




