第桃話 100日経過およびスタートの特典
『たま様。100日経過およびスタートの特典、長命桃が届きました』
「なんか?亀怪獣にさらわれそうな名前だよ?美味しいの?」
たまはコテンと首をかしげる。
『美味しくはないと推測します。コレです』
マスター空間に栗サイズの硬そうな桃があらわれる。
「美味しくないのかー。じゃー、コアが持ってて」
『できません。どうやら、一度出すと戻せないようです』
「えー。美味しくないの食べたくないよー」
『食べなければ、24時間後に排出されます』
「食べ物を粗末にしたくないよー。でも、桃ってことは育つのかな?」
『記録ではダンジョンで死亡した冒険者の荷物から木が生えています』
「そっかー!なら、プチ盆栽育てるよ!」
『では、2000メートル四方の部屋をつくり、護衛の魔物を・・・』
「しないから?!巨大庭園つくらないから!まずはふわふわ乙女チックランタンオブジェクトを処分するよ」
『処分ですか?』
「うん!ハロウィン終わったのにいつまでも同じ飾りを出してるみたいでやーだったんだよ」
『処分しました』
――っ?!
護衛していた結晶族の一人、ジャンモナ隊長が走り出しダンジョンから飛び出す。
「それでねー。柵つくって内側の床はふわふわの栄養たっぷりの土にかえて桃を埋めるの!」
『これでよろしいでしょうか?』
「うん!さすがコア!完璧だよ!」
たまは鼻歌を歌いながら、愛用のオシャレなジョーロからたっぷりと回復ポーションをまく。
――なるほど・・・わからねー。なんだい、こりゃ?
ジャンモナはダフネとリンリリ隊長を連れて戻ってきた。そして、ダフネが言った言葉である。
ダフネはくんくんと匂いを嗅ぎ、濡れた土を指でつまみ舐める。
「農家か?!」
――回復ポーションだね
「あ?!メッなんだよ!」
ダフネは掘り起こそうと手を出したが引っ込める。
――ミュリーが戻ったら相談する。それまではここも護衛しな!
――はっ!
ドシィィィン!
ドシィィィン!
ドシィィィン!
ドシィィィン!
――やっと来たわ
――ふふ。私を待たせた代償は高いわよぉ?
――私たちでしょ?
――はい!私たちです!
ふふふふふふふふふ・・・
その日、砂漠のテントへと城が動き出したかのような巨大な魔物が一歩一歩進んでいた。




