97.墓石
片やこちらはマスターの喫茶店。
「おばあさまもひどいですわ、私はただ、お母様とお父様に会いたいだけなのに」
「愛、言っただろう?自分の子を悪くは言いたくないけど、あの子は変わりもんだから会ってもろくなことがないよ」
日傘を畳み、店内に入るワンピースを着た小柄で清楚な女性。
「マスターはどう思われますか?私、悲しくて悲しくて・・・」
マスターは紅茶を用意しながら困った顔をして明恵のほうを見る。
「孫がこう言ってるんだ、少しぐらい会わせてもいいじゃないか」
「ふんっ、あんたはこの子のこと何も知らないから言えるんだよ。なんだよ一体誰に似たっていうのさ」
「おばあさまがそんな対応だったから私も仕方なく、旦那に当たるしかなかったのですよ!」
「人のせいにすんじゃないよ、だから教えてやったじゃないか、なんであんたはついていかなかったんだい?あらぁ?いざ、会うとなったら急に怖くなっちゃったなんて言うんじゃないだろうねえ??」
「むぐう」
マスターは涙を流しながら呟く。
「わしの店に来るやつらキャラ濃すぎだろ」
「あらマスター、自分はそうじゃないみたいな言い方ね」
「そうだよ、なんならあんたが一番腹黒くて・・・・」
「もうやだ、この人たち」
マスターは転職を真面目に考えようと思った。
―――――
「えっ?明子さんって生きてるにん?」
南が担がれながら忍者に聞く。
「・・・??ああ、週刊誌で死亡説出てたね、でもあながち間違いじゃないよ。急に占いはもうしないって占い師明子は死にました!次の人生を歩むんだ!」
忍者は草むらを走りながら明子の物まねをしようと声を裏返す。
「叩かれても根も葉もない噂なんかほおっておいて、占いを続けたらよかったのに」
南は寂しそうにしていた。
「イメージが大切な商売だし、それに・・・・夢で言われたらしいよ・・・にん」
「夢??」
松本が興味深そうに声を出す。忍者は少し間をおいて、言葉を選んで話す。
「とり・・・あえず、体験してみるといいかもね♪」
「・・・は、はあ」
忍者が足を止めると、そこは墓石が無造作に置かれた、如何にも何か出そうな不気味な場所だった。
「近寄るなって雰囲気がプンプン出てるでしょ?まぁこの墓石は偽物だから、浮遊霊が本当に存在して興味を持って取り付いたりしない限り何も出ないよ、にん♪」
「安心させようとしてるのか不安がらせようとしてるのかどっちかにしてください!」
忍者の方から降りると開口一番、南は忍者に怒ってみせた。
墓石を手順通り、いくつか動かすと地下につながる入口が出てきた。
「はい、どうぞ。いってらっしゃい」
二人が梯子を下りると墓石が動く音とともに、少しずつ、少しずつ、二人は不安を募らせていった。




