98.明子
「なんだかRPGみたいな通路だね」
忍者からもらった懐中電灯を手に南は嬉しそうに歩く。
「お前、さっきはあの二人のこと信じないって言ってたのに。どうするんだよ。本当は明子さん死んでいて化けて出たりするかもしれねえぞ?」
「ゾクッてすること言わないでよ。あ、でも。明子さん綺麗だし幽霊で出ても案外怖くないかも。血まみれとかだったら嫌だけど」
「幽霊って本当時代によってバラバラだからな。お昼に話してたウパニシャッド哲学とかだと魂というよりエネルギー体がグルグル世界を輪廻してる感じだろうし、もちろん最初から霊体に近い考え方の国もあっただろうけどー」
「功徳を積み仏になってあの世でって聞くと人の形してそうだもんね」
「そう、だから仏教後かもしれないなあ、結局こういう話って伝わるときにおたくの国でいうと、って感じで翻訳されるときに全くの別物になってしまったりするしなぁ」
暗闇の中、懐中電灯が上下しながら二人はゆっくり歩く。
「興味深い話をしているな、ちなみに時代時代で魂の色も赤や青白かったりするんだぞ?」
二人は驚き背中を壁に張り付ける。
「ああ、すまんな、驚かせるつもりはなかったんだが。人より存在感が薄いから気配が感じられないとよく言われるよ」
南は嬉しそうに指を指して飛び跳ねる。
「明子さんだ!!明子さん!!」
「よっ!はじめまして、明子だ、よろしく」
二人の予想していた風貌とは異なり、明子は研究者のような、医者のようなヨレヨレの白衣を着て眼鏡をかけていた。髪は当時の長髪のイメージと違い、短い髪をゴムで結っている。
「ああこれか?今は研究者としてこの施設でえらぁーい立場にいてな、毎日楽しくやらしてもらってるよ、とりあえず、そうだなあの部屋に行こうか」
あまりにも警戒がない対応に松本と南のほうが警戒をしてしまう。
「まあ、そんな緊張すんなって、言ってる間に上のあいつらもやってくるだろうし、な??にんにん?」
飲み物を用意する明子は手を止め、松本の持つ懐中電灯に話しかける。
「げっ、あの人本当に抜かりなしだな、懐中電灯にまで盗聴器なんて」
松本は懐中電灯を明子に渡すと、代わりに明子が用意していた飲み物を受け取る。
「まあここは重要な研究所だからな、特に最近は色々あって警戒態勢を高めているんだよ。まあその話より先に見てもらいたいものがあってだな」
少し経つと部屋の奥から明子は小ぶりなキャスター付きの金庫をゆっくり押してかえってきた。金庫を開けるとすぐに松本が反応を示した。
「・・・・これはまさか・・・・中華蒸篭」




