96.タクシー
「じゃあ突然降った雨の音も録音だったの?凄くリアルで臨場感があったけど」
走りながら南は松本に尋ねる。ため息をつきながらも嬉しそうに松本は返す。
「あとで聞くんじゃなかったのかよ。あれはおそらくレインステックだな、発祥はどこの国か忘れちゃったけど、雨乞いで使用されているものだが本来の使い方はこっちだったのかもしれないな・・・」
松本がそう言うと、返事をするように遠くから声が聞こえてきた。
「地震や天災の、音を当時で、もお。再現させていたとしたら、非常に、効果的な、軍の侵攻の足止めや抑止力になって、いただろうね!」
南と松本が驚き振り返ると、赤色の全身タイツの忍者が猛スピードで向かってきている。
「忍々」
「へんたいが全身タイツ着て走ってきてる!!」
南の走るスピードが加速する。松本も南に合わせ手足を動かす。
「大丈夫にん!僕は悪い忍者じゃないにん♪」
「追いつかれる、ってか今更キャラを取り繕った所でおせえよ!」
南と松本、二人を軽々と担ぎ上げると謎の忍者は走り出す。
「え?えっ?!これ何から逃げてるんだっけ??」
南は混乱したように後ろを振り返ると、血相を変えた実が追いかけてくる。
「兄さん、ちょっと!勝手なことはしないで!」
「いやーこの二人を気に入っちまったからなー。ボスも喜ぶっしょ!にん!」
忍者は独特な歩幅で走るのをやめない。
「暗闇だとよくわからないだろうけど、ここからの土は柔らかい、固い、と交互に土が配置されている。歩くだけなら問題ないが・・・走るなら歩幅を合わせないと転倒するし、そもそも上手く走れない、にん!」
「あんの、体力馬鹿!引き離される!」
実が息を切らせて頭を下にやる、諦めたようにゆっくりと前を見たころには3人の姿はなかった。
「ところでお客様、どちらに向かいますにん?」
「そりゃあ、決まってるでしょ。あんたらが入れ替わった鳥居あたりだよ!」
「いいね!了解しましたにん!」




