94.保菌者
南の指摘はごもっともだ。
「まぁ十中八九俺らを心配させないために重い話にならないよう、ふざけてくれたんじゃね?じゃないとこんな話しないだろうし」
松本は冷静に分析する。
「うぐっ、面白くねえなお前」
真はまたあぐらをかく。
「どんな病気にもならない種族、と取るべきか。どんな病気になっても気づかず人に移してしまう種族と取るべきか」
真は拗ねながらひねくれたことを言う。
「ちなみに保菌って言うものは誰にでもあることで、その中でも僕らは特別製のようです。明恵さんと明子さんの人脈とお金を使って、少しずつ解明されていっているので私たちが『普通』に生活できる日もそう遠くないと思います」
実は明るい声で微笑んだが、すぐに真が嫌なことを言いたげな顔をして口を開いた。
「昔細菌使って暗殺なんてしてたから、世界中の細菌やウイルスに免疫以上の耐性ができちゃいました・・・・ちゃんちゃん♪と言いたいが、実際に免疫があるわけではないようで、免疫過剰の研究にも俺らが役立つ日がくるかもしれねえってわけさ」
「事情を知らないで参拝に来る人も稀にいますが・・・そういう人は私たちが接触せず追い払う役目を担ってるわけです」
実の発言に南はハッとした顔で呟く。
「なるほど、保菌能力のせいで隔離されている村の忍者。略して菌忍者・・・」
「ニンニンジャーみたいに言いたかっただけでしょ!!」
実のツッコミに南は肩の荷が降りたように笑っていた。
その夜。
「どうしたもんかなあ」
「どうしたでござるか?」
「いやあ、君たちは素晴らしいよ、僕の言う通り何でもしてくれるし悩みも聞いて答えを出してくれる、でも」
「でも?」
「こう、命令されるんじゃなくて自発的になんかこうできないもんかねえ」
「??うーん。言っている意味がわからないでござる」
「閃いた!とかない?1+1=2じゃなくて1+1=2になることを見つけた!見つけようとしてみよう・・・みたいな、うーんなんていえばいいか」
「言うことを聞くだけではなくて自分たちで考えろと、では何を考えればいいかご命令をいただければ」
「・・・・・違うんだよなあ」
実は起き上がったことで、先ほどまで見ていたものが夢だったことに気づく。すぐさま横にいた真のほうを見る。
「・・・ああ、兄さん、僕も見たよ。今回は計算の話をしていたよ。他に何か覚えてる?」
「ござるござる言ってたのは俺だった、あれは俺たちのセリフだったようだなあ」
「・・・・兄さん、泣いているのかい?」
「・・・・お前も・・・チッ・・・なんなんだよこれ」




