91.ジェスチャー
「偽物でも本物でも・・??話術とかですか?」
南は興味津々に真に近寄る。
「それも大事だけど、全く言葉を話さない、言葉が通じない神様でもオッケーな方法さ」
スッと手をあげる松本。
「マジカルジェスチャー」
「おっ、いいね、正解」
真は拍手して松本を祝う、続けて南のほうを見る。
「うんこにマジカルジェスチャーで、うんこに棒刺すとか想像しただろ」
「・・・・」
図星だったようで南は黙っている。
「音が鳴るしやりやすいから今のマジックに定着しているジェスチャー。指を鳴らすってやつさ。仏教ではアレに名前があって弾指と呼ぶ、宗派により使う意味が違うのはいつものやつ」
ウキウキしだした実が真の話に付け足す。
「この弾指と刹那の関係は面白く、時間の最小単位刹那で65刹那が1弾指で」
実は真を睨む。
「また南が寝るじゃねえか!寝るなよ」
南は頷き、真の話を聞く。
「元々密教が使っていたものが転じて邪気を払う意味合いで広まったそうだ。指を鳴らす回数、相手がいる場合、修行中に自身に鳴らす場合、まあ色々あるが上手くならなかった場合は邪気を払えなかったってことでそこには幽霊や悪いものが残っているって考えまである、注意するときに弾指をするってのも邪気がありますよって転じて警告の意味らしいが」
南は言いたくて仕方ない言葉を発する
「そ、それとうんこは一体」
「排泄物、汚物には邪気があるから払うために排泄後に弾指をしていた、これはさっきの細菌に関することでいうと、病気の原因になる菌に対して払い、攻撃をしているってことだから、やっぱり菌に対して体に悪いものって認識はあったってことだろうな、効果が科学的にあるかは別として」
真の話のあとに松本は忠告する。
「おい、南。効果はないんだから、トイレでパチパチすんじゃねえぞ」
「ギクッ、面白いからしたかったのに」
「それ自分で臭いの出ましたって言ってるようなもんだぞ・・・」
真はケラケラ笑いながら続ける。
「ってまあ色んな意味合いがあり続けられてきている指パッチンなんだけど、いつの間にかリズムを取るものに使われたり、陽気なものとして扱われてるわけ。もちろん仏教の業と知らずリズムを取るために鳴らしだしたのもありえるけど、明子さんはこの弾指の研究を始めたわけ」
実はうずうずして真に訴えかける。ため息をつき頷いた真に気をよくした実が話し出す。
「指でするジェスチャーの研究は陰陽師の印まで広がっていきました。そしてクリスチャンに関する手かざしの歴史。これで彼女が気づいた発見は何だと思いますか??」
南と松本が口を開く前に実は話す。
「そう、手の運動。これに人は魅了されるのではないか、ここから彼女は何もしゃべらず、握りこぶしをゆっくり広げる。掌を観客に見せる、握りこぶしを作りながら手首を返す、この運動を練習するようになりました」
松本を指差し、真が腕組みをする。
「そういうわけだ。俺ら兄弟は明子さんのブレーン。所作やキャラクターとしてのバックボーンを作ったプロデューサー、君がしようとしていることの先輩にあたるわけさ。プロデューサー志望の松本君」
「・・・あの婆、南の修行のためと思わせて、俺を試してたってのか。相変わらず嫌な奴」
真と実は顔を見合わせる。
「嫌な奴・・・かあ」




