85.キャラの濃い兄
「ちょっとそれ私も入ってるからやめてくれませんか」
「弟よ、そんなこと言って明子さんを独り占めしようたってそうはいかないぞ!」
「そんな・・・わけ!ない!で!し!ょ!が!あなたたちも笑ってないでこの馬鹿を止めてください!ってか鼻血を先に拭きなさい!」
真と実は双子。歴史上のイリュージョンを行ったマジシャンの中にも実は双子だったと言われているものが何名かいる。
「まぁこの言動からもわかるように、真がボンクラ兄貴で、実の私が天才大先生ってなわけです」
「おいふざけんなよてめえ!あの本書いたの俺じゃねえか!お前もボンクラなくせにこの野郎!」
騒ぎを聞きつけ例の大柄な男が部屋に転がり込む。
「やめなすってえ、お二方。またあ壁壊したりするでねえぞお」
すぐに口を押え我慢する南、それとは対照的に指を指して笑う松本。
いつもの近づいてヒソヒソと松本と南の確認が始まる。
「これ先生以外みんな演じてたってこと?」
「だと・・・思うが、そうだとしたらここは一体何なんだ」
数分後、ティッシュを鼻に詰めた真が現れる。
「あーもうこの短パンでいいよね、見分けやすいだろうし、話はモニタールームで見させてもらったよ」
「モニタールーム??」
ボサボサ頭を掻きながらペラペラと話が止まらない。
「あぁ、そこの松本君だっけ?彼にはちょいちょい邪魔されたけど、一応この里の掟だからね、部外者には監視をって」
ふてくされた実が服を整えながら聞こえないような声を出す。
「掟をペラペラ喋るのは掟破りだと思うのですが??」
「実、まだインカムついたままだから丸聞こえ」
「あっしまった」
投げ捨てたインカムは松本の足元に転がり落ちる。
「いやはや凄いよ、こんなに見た目はただのボロイ寺なのに、中身はハイテクの塊」
松本に近づいて南はとりあえず安心して、本題を切り出す。
「邪魔って何してたの?」
不敵な笑顔で松本はロボット猫の声を出す。
「妨害電波発信君」
「ほら、実。見てみろ、なんでもWIFIに変えるからこういうことを試す輩が」
真がブツブツ言いながら松本に笑顔を向ける。
「有線だと劣化が気になるからいちいち着け直すのが嫌って言ったの兄さんじゃないか」
もちろん今の愚痴は小声で話している。
「この山ねえ、実は核シェルターみたいになってんの、で中に何人か住めるんだけど~上の建物はカモフラージュ、君たちがきてから数名参拝に来てるけど、そのうちの何人かはこのシェルター内の住人なわけ」
松本はキョトンとしながらも聞きたいことが溢れだす様子。
「なんでこんな急に、あっあの後ろに立つあれは言わせてください!で、ここは一体」
「松本君駄目だよ?例えば僕らが悪い宗教家だったとしたら、君は今から僕が自白しますって言ったことを全て事実として納得する気かい?わかるかい?・・・自分がここを作ったなら、どうする?どう改善する?」
南は実に近づき少し触れる。
「よし、安全なほう」
「やめてくれませんかそれ」




