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魔王様は手品師  作者: ゆたか
比企田天在編
79/191

79.ひっかけ

「あー。思い出した!思い出しましたよ!鳥居の話をしていたんでしたね!」


「ちょ、先生声大きい」


南が顔を歪めて耳をふさぐ。


「危なく水銀と言えばヒ素もね、と全然関係ない中世ヨーロッパの話をしそうになって、それで頭がこんがらがったみたいですね、失礼しました」


「ヒ素?」


「今は劇薬扱いされているものも少しずつ取ったら体にいいとか、聞きたいなら後で俺がたっぷりと」


「NO!」


「ちっ・・・」


手を叩く音とともに大先生が話始める。


「はい!で、鳥居は神様の使いがやってきて止まる場所とか言われていたり、結界の役目があるなどこれもまあ宗派や国により様々です。で、ここにあるものは模倣品と思われます。その時代に急に神様が必要になり見よう見まねで作ったものなのでしょうね」


「狛犬も見たことない獣ですね・・・・顔が凄い迫力がありますが」


「病気と戦うための神様かもしれませんね、私のところに相談に来た方でさえ、何の神様かわからないが無下に扱うことが出来ない、誰も参ってはいないようだが処分するのも・・・・と」


「えー、じゃあ先生はなんの神様かわからないまま、お祈りをしてるんですか??」


「そうです、将来的には儀式をして御霊を一つに、とは思っているんですが頑張って勉強中です」


松本は狛犬を険しそうな顔で2体見つめる。


「怒りを鎮めてもらうために祀られていて、本来は願い事なんて言う相手じゃないかもしれないぜ」


「そうです、そのパターンもあり得ます、何せ神様とひとくくりにしてしまいがちですが、アジアに所縁の無い精霊かもしれません」


「宗教の墓場・・・まぁ言い方は神様によくないけど、拝みに来る人が大先生達しかいないとなると確かに納得できる」


「あれ??私そんな言い方・・・・しましたっけ??」


「もう、いい加減な人!」


「はは、すいませんね」


帰路、南は先生の歩く姿を後ろから観察する。


「先生歩き方変ですね、怪我されたんですか?」


「これは神様に失礼のないよう、静かに歩いているんです」


「なるほど~。・・・うーん」


南は松本に小さい声で歩み寄る。


「馬鹿お前、もしそれが正解だったとしてもそうです正解です!なんて言ってくれるわけないだろ」


「あ、バレちゃったか。。いやこういう職業特有の歩き方を極めたら静かに背後にも回れるのかと思ってね」


南と松本が足を止めて話す間、大先生の背中はみるみる遠のいていく。


「あっ!先生、帰り道私たちわからないのに、置いていかれちゃったよ!」


「いえ、置いていってはいませんよ」


突如現れた大先生は南と松本の背後から満面の笑みを見せた。

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