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魔王様は手品師  作者: ゆたか
比企田天在編
80/191

80.食事

「さあ!たらふく食べてくださいね!」


アロハシャツに着替えた男はエプロンをつけ料理を始める。


「たらふく食えと言われても、こんにゃく、こんにゃく、こんにゃく」


「精進料理の気分を味わってもらおうと思って、こんにゃくフルコースを作ってみました!」


テーブルの皿には味噌、醤油、スープなど容器は多種多様ながら、見え隠れしている具材は全てこんにゃくである。


「こんにゃくしかないじゃないですか!あたしこんなの食べたくないです!」


「あたしって、乙女発動してるじゃねえか、食べねえならもらうぞ」


南はため息をつきながらも箸に手を伸ばす。


「松本君って順応する能力高いのか低いのかわからない時あるわ。。」


「旅行にきてるんだから、その地域のしきたりを味わうのが大事だろ??うん、無味無味」


「美味美味みたいに言っても悪口だよ?」


南はゆっくりとこんにゃくを口の中に入れる。


「如何に生きるために必要な行為を最小限にしてこそ見えるものもあるのだよ」


南のすぐ隣の人影が話始める。


「うわ、弟さんびっくりしました。急に喋らないでください、喋るときは手を上げてお願いします」


「むぅ、そもそも食事中は話さず食べ物に感謝して頂くものだぞ?」


「・・・・すいません」


大先生は大きな鍋を抱えて現れる。ゆらゆら揺れながら危なげながら、ゆっくりと鍋をテーブルに置く。


「おっとっと、山菜のシチューです。お釈迦さまも苦行後、ミルクで体力を回復して悟りに至ったそうですよ~」


シチューを皿に移す大先生を松本と南は少し怖がりながら見つめる。


「山菜って食べてはいけないものと・・・もちろん見分けてます・・・よね・・??」


「もちろんです!見分けが難しい葉は採ってきてません!それを言うならそのこんにゃくこそ手作りなので毒が抜けてなかったらすいませんね」


「・・・・。」


「兄者のこんにゃくは芋からではなく市販の粉から作っておるから、大丈夫だ。・・・おそらく」


「いや、弟さんも箸が止まってるじゃないですか!!」


夕食を終え、まだ日が落ちない頃、軽石が蹴られる音が遠くから聞こえる。


「・・・ね?軽石って便利でしょ?ちょっと行ってきますね」


足早にこの場を去る大先生に何かを感じ、松本と南は小さい声で話始める。


「なんかやばい案件じゃないですか?これは」


南はわくわくをしながらこんにゃくを松本の皿に移す。


「お前こういうの好きだよなあ」


箸で南の更にこんにゃくを移しながら松本は左上を見る。


「ちょっと!さっきより多くなっちゃったじゃない・・・って何か考えてるのね。こうなったら人の話なんて聞きやしない」


「・・・・御馳走様、それではワシも行くとするか」


大柄の男は勇ましく立ち上がり、竹刀を片手に歩き出した。

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