73.占い修行
「今日はここで商売・・・じゃなかったデモストレーションしてもらうよ」
場所は大阪難波の周防町通り。白昼堂々違法駐車の自転車が並ぶ道、ポツンと並びそぐわない椅子とテーブルが鎮座する。
「・・・・」
何も言わずに椅子に座る南。
「おお、物分かりがいいじゃないか。ここで半日、占いをするんだよ」
そういうと老婆は手に持ったローブを南に手渡した。袖の部分や首のあたりにはほころびがあり、全体的には綺麗だが使用感が見て取れる。
「形から入るのは大事だからね、ま。これでいっぱしの占い師だね」
道行くサラリーマンらしき男が立ち止まりハンカチで顔を拭いながら老婆をじっと見つめる。
「あ、あ。あんた明恵さんじゃないか、昔テレビで見たよ。今なにしてるんだい?」
「なにって占い師だよ、こいつはうちの新人なんだ。ただでいいよ、あんたは特別にね」
小さな声で明恵は南に話しかける。
「立ち止まってくれると思うんじゃないよ、自分から話しかけて、あなたは特別にただで占う、また明日も来てください、その時は2000円で占いますんでお願いしますって笑顔で肩をポンっと叩いて握手して別れな」
南はローブを着ると深く深呼吸する。手と手をあわせて目を閉じる。
(いいねえ、いい感じだよ)
明恵は南の肩を優しく撫でて椅子に座るよう促す。
「じゃあ・・・まあ夜になったらまた来るよ」
明恵は南を置くと通りを少し歩き・・・立ち止まり振り返る。
「・・・・ちっなにやってんだ私は」




