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魔王様は手品師  作者: ゆたか
比企田天在編
71/191

71.解説

「それでだ、結局は<いつも通り>占ったんだろ?」


マスターは巧妙に仕掛けられたタロットカードの裏面を見つつ、すました顔で老婆を見る。


「けっ、やってやったよ。死神、悪魔、塔の3種類だけの嫌がらせセット」


老婆がテーブルに叩きつけた22枚は死神が7枚、悪魔が7枚、塔が8枚で構築されたワンオラクルシステムだった。


「でもそもそもこのカード自体、悪い意味ではないんだろう?」


「悪魔は力や金の誘惑、塔は絵の通り崩壊、死神はそのまんま、何かが終わる暗示」


老婆は気だるそうに人差し指で1枚1枚をマスターの手元に弾いていく。


「悪い出来事ばかり起きてるんですって人が逆さまの死神を引いたら、悪いことが終わる?それとも何かが終わるってことだから終わるの反対だから終わらないってこと?」


「うっせーな!この話何回させんだ、今を占ってほしいがスタートか未来を占ってほしいかでも意味は変わってくんだろうがボケ」


「ま、まあまあ。とりあえずこのタロットカードをミスコールしながらテーブルに裏返して置いていったと」


「ミスコール?ああ、手品ではそういうんだったけ?」


(お前だってこの話何回目なんだ婆、と思ってもマスターは顔には出さない)


「客にバラバラのタロットカードの絵を見せて、揃えてテーブルの端まで持ってきて、右手はそのままバラバラのタロットカードをテーブルの下へ落としつつ、同時に左手は仕掛けのタロットカードを出してくる 」


(相変わらず鮮やか。本来は会話しながら隙を見て右手の物はポケットへ、左手のポケットから仕掛けを取り出す、そんな大胆な方法でもいいはずが、ま、これは性格だろうな)


「あとは0愚者・・・Ⅰ魔術師・・・Ⅱ女教皇・・・・と説明しながら軽く混ぜているように見せてタロットカードがバラバラのままだと暗示させる 、でも勝手な行動をしてカードを調べたり・・・」


老婆の顔にしわが寄る。


「言う通りにできないならいい結果いいカードはでないと思うけどねえ?これでイッパツさ」


・・・・手品でも同じことが出来たらいいのにな、と思うマスターであった。


「大体さ、占い師がイカサマしたってなんになるんだい?」


「いや、してるあんたが言うなよ!」


「馬鹿だねー?運が悪いかもしれないやつに運がいいカード引かせたって、あとで悪いことがあったら占ってもらった結果と違うじゃないですかってクレームつくんだぜ?逆に運がいいやつに運の悪いカード引かせたってなんになるんだよ?」


「・・・後者のほうは暗示だったからあの占い結果を心にとどめておいたから上手くいったんだ、試しに今もう一度タダで占ってやるよとか言うとして、前者はいい結果が出て慢心しちまったんじゃないのかい?もう一度タダで占ってやるよ・・・か?」


「ノーコメントだよ!」


タロットカードを右手でテーブルから取り上げ、左手を添えシャッフルし始めるマスター。


「・・・・大したもんだよ。抜き取る加える、ただそれだけだけど完全にやられたよ」


テーブルに揃えたタロットカードをフラワーシャッフルし始める。


「南君は揃えてカットする際、親指でカードの端を弾く。他のカードよりやや厚めのカードのカードが見つかる・・・おおよそどこにあるかさえ分かれば、あとは裏向きで傷のついたカードを見つけ出すだけ」


マスターが一連の動作を終えるとテーブルには1枚の隠者のカードが表向けられた。


「まあ残念だったね、正位置ならいい孤独、今回は逆さだから悪い孤独ってとこだね・・・って・・・」


「なんじゃ?」


「そういや威嚇に気を取られて何の占いするか聞きそびれちまってたよ、グヒヒヒ」


「本当にそんな笑い方する人はじめてみたわい」

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