57.東急ハンズ1
「はーい、というわけで東急ハンズ長堀店なうでーす!!」
億一がスマホを自撮りしながら東急ハンズ前で飛び跳ねる。
「億一もマメっすね、インスタ色々なものしているらしいっすよ、フォロワーもほとんどいないのに」
同伴者と思われないよう少し距離を取ながら小林は先生と話す。
「まぁでもあんたみたいに前に出たがらなさすぎも勿体ないと思うけどね~。教えたファンカードはどうしてるの?」
カバンに手を入れて小林は一組のトランプを取り出す。
「いやぁ。。。先生に言われた通りトランプ一枚一枚、裏表をロウソクで塗っていきましたが、全部終えるのに2週間かかりましたよ」
※トランプを均等にファンするためにロウや専門のパウダー、ファニングパウダーをトランプに塗布する。
「今はバイシクルトランプにも4分割カラーのトランプがあるけれど、昔は滑りが良くてファンカードに合うトランプは滑りが悪かったし・・・ああ、バイシクルをそのまま使うと滑りが良すぎて戻りのファンを受け止められないでしょ?均等に滑りをコントロールするには加工が必需よ」
「ファンカードはロウ、ミリオンカードにはパウダー。市販されているものに手を加えると愛着が湧きますね」
「島田晴夫さんがベアハンドを広めてから特にロウ加工よりパウダー加工が増えた印象があるわ、ロウ加工だと1枚出しにはデメリットもあるの」
二人がトランプについて語り合う隙に億一は店内へと消えていく。
「あ、あいつ店内に入ってしまいましたよ、先生行きましょう」
小林はトランプをカバンにしまうと億一の後を追いかける。
その姿を見ながら
「あぁ、本当に・・・生き写し見たい。父さん」
先生は・・・・そう小さい声で呟いた。




