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魔王様は手品師  作者: ゆたか
小林過去編
54/191

54.インド手品

楽屋を尋ねると黒髪の清楚な女性が椅子に腰かけている、若さゆえか一億も小林も帰ることはせず楽屋を尋ねていた。


「あーぁ!貴方のせいで怒られたじゃないの~。やだやだ」


「いやそもそもよ?億一さんですっけ。話しかけなければ何もなく終わっていたと思うんですが」


「はあん?!」


「おい。やめろ」


右手に持つ扇子を億一に突き刺し、床に張り付くような低い声が聞こえた気がした。


小林は声がしたような方を見たつもりだったが、聞こえた声と目に入った表情は異なっていた。


女性は深い笑顔を見せながら小林と一億を見ていた。



「やっぱりいいな君たち」


・・・・褒められた。


「それであんたたち、私の江戸からくりと江戸忍術・万年自鳴鐘はどうだったのよ?わちゃわちゃなる前には大まかな話は終えていたはずよ」


狭い部屋、パソコンの前には和菓子が3個、少し高そうなコップにインスタントの緑茶が注がれる。


一億の顔色を少し伺いながら小林は口を開く。


「・・・・素晴らしかったです。現代科学は進歩し続けている!と言うものに対して疑問を感じさせる・・・えっと・・・」


「固い!重い!」


女性は言葉を遮りながら右の手のひらを差し出す。


「・・・あ、えっと、仕掛けがああでこうで、初めに考えた人はスゴイなと思いました。初めに何かをする、発明とは凄いなと」


話し終えた小林は一億の顔を見る。


「あ・・・私はその。小林さんとは違って、仕掛けよりも人に注目してもらえていいなと。万年時計に関してはお披露目の際、大名の前でどうプレゼンテーションしていたのかなと」


・・・・和菓子を鷲掴みして頬張る女性。お茶で流し込むとすぐ


「あれは嘘よ」


「え?!」


二人は顔を見合わせて、絵にかいたような無表情を見せる。


「あれは嘘なのよ」


「まぁ、嘘というか着色はしているし、書いた本人や子孫に調査までは無理だったから、今ある手品がおそらくはこう影響を受けたんだろう、そう私の推論が入った講演になったわけだけど」


大げさすぎるホワイトボードが、これから説明される規模を物語っているように感じる。


「いい?ヨーロッパで昔起きた魔女狩り、市民が市民を名指ししてあいつは魔女だ!いいや違う!裁判をしました、ナイフを刺しても血が出ない魔女だ!・・・いやナイフを見てくれ、刺さらないようになっている細工されたナイフだ!」


世界最古の手品の種明かし本、「妖術の開示」(1584年)

著者のレジナルド・スコットは議員。知人のマジシャンの協力を得て本を制作した。政府や一部の市民が使っていた悪魔を判別する方法には種があり、悪魔など存在しないことを証明することが目的とされている。


なお、世界最古の種明かし本として日本(中国伝来)の神仙戯術しんせんげじゅつの存在が確認されており(2016年前後の出典)世界最古の種明かし本と主張は可能とのこと。


「インドロープ(ヒンズーロープ)の例を見てみましょう。ロープが自立して立ち上がり、空に伸びていきます。そのロープを少年が登り見えない所まで登っていきます。・・・・上から骨が落ちてきました・・・・!!組み立ててみましょう。。。あ!!さっきの少年に戻りました!!」


ロープを受け取り小林は3秒ほど沈黙する。


「ロープが固くなる、人が登るまでは再現可能ですが、骨になって落ちてくるのは・・・」


「そうね、テンヨーからもハンカチーフになるロープ(ネタバレタイトル)で出ているし、固くなるロープと言えば例のやつでもテンヨーは出しているし、この時代のロープは縄に近いもので仕掛けも作りやすそうね」


「空に登っていた人が骨になって落ちてくるのはジャックと豆の木のように、空には悪魔や神などが住んでいて襲われたとか、そんなところじゃない?!宗教的な話が後からくっつけられたなら骨が落ちてくる唐突な部分も納得いくわ~」


一億がご機嫌よく飛び跳ねだす。


「全てイブン・バトゥータの創作でした!と言われればそれまでですが、この人の本以外に出てこないので仕方なさそうです。中国にそもそも訪れていない可能性が高いそうで、そもそもそのロープのネタをどこかで見たのさえ怪しく感じますね」


※都市の不思議と旅の驚異を見るものへの贈物の著者。1346年中国でイブンはインド人が演じたヒンズーロープを目撃したそうだが、他にこの現象について残っている書物はなく、また再現も不可能なため創作ではないかと言われている。


「・・・・!」


何かを察して2人の会話は止まる。


「そう、どちらも本として残されている奇術の本には違い無さそうだけれど、種明かししているかしかも再現可能かで価値は全く違うのよ!忍術に関する伝承は、伝え聞いたことや著者が憧れから予想して書いたものが多いから、イブンの本に近い可能性が高いの。でも・・・・・」


「これを昔の天才マジシャンからの挑戦と受け取って、今も解析や再現を目指す人間はいるわ!」


小林、一億は顔を見合わせる。


「ようこそ、貴方たちのような元気な若者を探しているの。次世代の妖術の開示を目指しましょう」


―――――

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