50.スリ師のショー2
「そうね、にぎやかしとでも呼べばいいのかしらね。催眠術師のショーや歌手、歌舞伎だってスタッフの使い方が上手い人たちは客席に勉強もかねてお弟子さんがいることがあるからね」
間髪入れず、荒げた声が響き渡る。
「あああ!!勿体ないわ!教育、道徳的に良くないだとかで消えて行ってしまっている英知たち・・・!!」
小林は後ずさりしながらも冷静に話始める。
「またいつもの発作か・・・。億一は身の回りの世話までしているんだよな、凄いな。。。で、では先生!ありがとうございました。ショーとして作り上げるなら可能そうですが、今の自分に取り入れるにはまだ難しそうです。それに男性客が協力者と分かってしまった以上、一般の人に対して演じるのは・・・・」
ピタッ
「・・・・。止まった。」
「小林、あんたはいつから、どれが正しくて、どれが本当に自分が考えて答えを出したものか、自分らしさは考え方、考え方とは経験則・・・」
小林の顔が青ざめていく。
「な・・・なんかまた始まってる!!先生!今日はもう失礼します!」
バタンッ
・・・・・ガラガラ
「先生ぇ?億一でぇーす。ってまた先生ネガティブスイッチが入っとるがな!」
「はっ!億一ちゃん、小林のアホは?」
「え??いませんでしたよ」
「あちゃ~・・・・。億一ちゃんごめん、この腕時計とネクタイ、ハンカチにスマホにボールペンやらなんやら小林に会ったら返しといてくれないかな?」
ポケットから受け取った品を眺めながら億一はため息をつく。
「これ少し前に私にしたミスディレクションのやつじゃないですかぁ!!コバちゃん後で気づいて警察に駆け込まなきゃいいけど・・・」
「はっはっは!手品は体験してなんぼでしょ!特にミスディレクションに関しては実際に体験したほうがいいのよ!がっはっはっは!」
(うう、、手品の知識もそれに精通するあらゆる民俗学も極めているに等しいお姉さま。しかしなんでしょうこの虚しさは)
――――――
「はい、ということでミスディレクションの主な説明はこれにて終了!あとは個々のマジックを学ぶ際に学んでいくのがいいと思うのでまたその時に話すわ。大切なのは意識誘導、これさえできればレイディの透視能力がある相手でも、人の心が読める相手でも通用するだろうぜ」
(本当はこいつらにも俺が味わった非道なスリ被害を味わってもらいたいんだが・・・腕時計はないしネクタイも・・・というかこいつら服着てすらないもんな)
「ところで小林殿」
ダイルが小林の持つ物を指さす。
「その、スマホ?だったか光っておるが大丈夫か?」
「・・・え」
小林は手の光に気づく。




