37.ピンチ
「よく見ろよおおお!!このボールペンで紙に穴を開けるとぉおおお!!」
「ふはははは!!いくつ穴を開けられるかの勝負か!!コバぁあ!俺は負けんぞぉお!!」
「おいいい!!最後まで見ろ!糞〇〇〇ワニ野郎!!」
怒声が響く部屋の隅。口に手を当てて慌てる魔王。
「はわわわ。これはまたダイルが魔王城を破壊しかねないでござるよぉお!」
「そのあと壊れた部屋の修復に追われる魔王様は3日間食事抜きなのでした」
「ロッドぉおお!そういうの本当になりそうだからやめて!」
冷静にダイルとコバを見つめるレイディ。
「そうねぇ。その程度で済めばいいけれど」
はあはあ・・・はあ。
(このワニ野郎、全然人の話を聞かねえ。手品をやってきて今までこんな客は何人も会ってきたが、その中でおそらく最強クラス)
はあ・・・はあ・・・。
(むう、このコバという男。ひょろっとした外見からは想像できない筋肉が筋肉している。もしや腹筋が足先まで達しているとでもいうのか)
「レイディ、心配しすぎでござるよ。コバ殿はいつも切り抜けてきたでござる」
「それは話の通じる相手ならねぇ。今回のはコバちゃんにとって相性最悪じゃなあい?」
床に投げ捨てられた手品道具が小林の手数の多さを物語る。
「はっきり言ってピンチよぉ。さあどうする?コバちゃん?」
ダイルを見ながら小林は回想し始めていた。空の両手は強く握りしめられていた。




