23.きーかーどろけーしょん
――――仕切り直し
「いいか、魔王よ~何度も言うがこれは大事なことなんだ。と言ってもうまく伝わらないよなぁ。試しにやってみるか。」
「おおお!何をするでござるか?何をするでござるか?」
「うるせえな、屁するぞ」
「気絶して食欲なくなるのでやめてください・・・」
小林は魔王にトランプを手渡すと混ぜるように言う。
「トランプを返してもらっていいか、見ずに広げるから1枚選んでくれ」
小林は横を向き、トランプから目線をそらす。広げたトランプを魔王が1枚引く。
「残りのトランプはテーブルに置く、半分に分けるからここの一番上にトランプを置いてくれ、置いたら半分にわけた残りのトランプを重ねる・・・こうすると選んだトランプは大体中ほどにあることになるな?」
二山にわけたトランプを小林が揃えながら魔王に確認する。
「そうでござるな~。綺麗にそろえてしまうとどこにあるかわからなくなるでござる」
「トランプ忘れるなよ、よくあることだから念のためだけど・・・」
「だ・・・大丈夫でござるよ・・・多分」
テーブルにトランプをスプレッドする。テーブルには表向きに均等にトランプが広げられている。
「再確認だが、トランプは54枚ある。マークも数字もバラバラだ」
「そうでござるな・・・」
「黒、丸みがある、クローバー、角が多い、角ばった・・・7だ、選ばれたのはクローバーの7だ」
「ぎょえええ!!当たっているでござる」
小林はロッドのほうをチラッと見る。・・・・・あぁ、このぎょえええは絵日記行き確定だ。
「これは俗にキーカードロケーションと言われる技法だな、種明かしの本や手品師が出てくる話にたびたび登場しては種明かしされてしまっている・・・単純な原理だからか少し軽んじられている技法だ」
「そんなに単純な技法なんでござるか?さっぱりわからなかったでござるよ」
「俺のはリチャードオスタリンド様の英知が詰まっているからな、これでもまだまだ本家には程遠いと思うよ」
「へぇ・・・奥が深いんでござるな」
「そうだぜ、なんせこのキーカードロケーションは忘れたときに誰かに演じられて驚かされるくらい奥が深い、種明かしされなかった今まで見たマジックの中にもキーカードロケーションがあったかもしれない」
「シンプルだから研究もされているし、バリエーションも豊富なんでござるな、前に教えてもらったサムチ・・・」
「おっ、その通り。こいつはあのギミックに近いかもしれないな、手品を始めたてだと最初のほうに知るものだから侮ってしまうが、うまい人に魅せられると痕跡さえ見つからないぜ」
トランプを右手から左手に1枚ずつ落としていきながら魔王に近づく。
「どうだ?最初に言った話なんとなくわかったか?」
「うーん・・・確かに悔しいでござるが、指先が器用に見えるようトランプをさばいていれば良いというわけではないでござるな」
「そーいうこと。超能力に見せるようなトランプマジックは手先が器用に見えないほうが不思議に見えるわけ、やりたい気持ちもわかるが演目は統一したほうがいい、よほど上手い話が作れるのなら別だけど、最初は難しいだろうからお薦めはしないな」
トランプを横向きに左手、右手に持つ小林。左手右手のトランプを前後にゆすると間から表向きのエースが出てきた。
「エースを探し出しました!ってこのマジックをしたあとにさっきのキーカードロケーションをしていたら、トランプ当ての印象は違うかったと思うぜ。マックスメイビンって人はトランプをうまく混ぜるなという話をしているし、トランプマジックは奥が深い分、技術を押し出すか完全に隠すか決めておいたほうがいい」
「うむぅ・・・・わかったでござる、というかさりげなくさっきからエース出してるの教えてほしいでござるよ!」
「おい!わかってねーじゃねえか!魔王なんだから超能力系が向いてるっていってんの!」
「やだやだ!そっちも知りたいでござるよ」
お尻を振り振りする魔王。小林は少し考えたあと
「じゃあ次の例を見せるからよく見とけよ」
と言った。




