21.てんねん
「着いたでし。ここが黒い泉でし」
水性絵の具で染めたにしてはテカリのある、油絵具の黒を薄めたような、透けてはいるが粘りのある不思議な泉。
「何かが落ちたような跡にも見えるし、泉の奥は更に霧が濃くて見えねえな、探索はしたのか?」
「それがだなコバ、ここから先に行ったものはほぼ帰ってこない、帰ってきたとしても記憶が曖昧。おそらくこの霧が関係しているのだろうが・・・」
泉の先に流れ着いたであろう品々が転がっている。
「不思議だな、液体のようなものなのに流れ着いたものは濡れていないのか」
「なんだこれ、たこ焼き屋の看板に、提灯やらDE-17・・?5?3?金属っぽいけど、こいつが錆びているってことは水には違いないってことか??」
「よくわからないものは触らないことでし。怪我してもしらないでし」
「ガラクタも多いからよくわからないものだらけだけどな」
こそこそこそ・・・
後ろ向きに後ずさりするモグ太。
「ああ!!落とし穴に!ハマってしまったでし!これは大変でし!一人で穴から出られるかわからないでし!」
3Mほどの穴に落ちているモグ太。穴に人影が近づくと透かさず
「コバ殿助けてほしいでし!一人で・・・」
「お前モグラなのに穴から出られないの?」
モグ太に電流が走る。
(しまったでし!穴に落ちて人柄を試してやろう作戦、よく考えたらおいらモグラだったでし!)
「ち・・違うでし!普段は登れるでしが足の調子が悪いでし!」
「ったく・・・しょうがねえな」
小林は持っていた赤いハンカチをひと撫でするとロープに変えた。
「魔王様、ロープに強化魔法をかけてもらえないか」
ロープにしがみつき釣りあげられるモグ太。
「助かったでし、コバは優しいんで・・・」
「これは大きな貸しだ。部下もモグラなのに穴から出られないなんて聞いたら、幹部として恥ずかしいことだし、まさか虫が嫌いなんて気づかれでもしたら、うんたらかんたら」
(・・・コバを試すことはもうやめることにするでし)
――――魔王城
「モグちゃんうまくやってるかしらん?」
「はっ!あいつなんて、はなっから当てにはしてねえさ」
「あらん?じゃあ私には期待してよね?」




