184.オーダム
懐かしいような、怖いような。相反するこんな感情を同時に味わうなんて。
しみじみとゆっくりと漂うソレは暗闇の中、目を閉じる。
しみじみとしていたソレは不快な声に眉をひそめる。
「オーダム、起きろ。俺様だ。久しいな」
「!!!」
ベッケンの声のほうに飛びかかる動きにヒデは驚き、後退りする。
「あ、アメージング。なんて生命力。し、信じられないわ」
ベッケンは手を叩き指を指しこれ見よがしに笑う。
「そりゃあまあ教祖様ですから、魂もおきれいでおうつくしいんでしょうよ」
「ぐぬぬ、ベッケン、きっさま!またも我が経典に難癖をつけるか」
ヒデはペラペラと喋る姿に更に愕然とする。
「こ、こんなのありえなーいわ。。どんな順応力があったとしてもありえなーい」
ベッケンはまた空中を見る。
「ヒデ、それは・・・松本予想、いやほぼ昭恵も同じことを述べていたが」
オーダムはみるみる姿を在りし日の姿に変えていく。
「はっはは。見ろ。さっすがは自分を強く持つ教祖様。vgpのシステムも型無しだな」
オーダムは急に怒りを沈めてベッケンを見る。
「んん??そういえば私は・・・さっきまで械霊の除霊をしていたはずでは」
ベッケンは空中に人差し指で渦を書く。中から平らな板を取り出す。
平らな板はアナウンサーとオーダムの寺を映し出す。
「オーダム。お前の寺から身元不明の焼死体が見つかった、というニュースだそうだ」
「何を言っているベッケン、私はこうしてここにいるではないか!」
「そうなんだよな、そうなんだよ。お前はあっちじゃ死んでいるし」
「あっち?ま、まさかここはバーチャル世界・・・バーチャルギニーピックの・・・・私は世界につれてこられたとでも言うのか?!」
ベッケンは空中に両手をやる。
「正解だけど、それじゃ言葉が足りない」
「たり・・・ない?」
「ここに松本予想という面白いものがある」
我々人間とバーチャルギニーピックという人工知能。その違いは一体なんだろう?人工知能が心を持つようになり、人間に近づいた。更に機器を使えば有機物を用いた3Dプリンターで人間になって人間世界で暮らせるようにさえなるらしい。人間は永遠の命や機械が持つ計算能力に憧れている。人間側も脳をスキャンしたり、脳みそだけにしてバーチャルの世界に入り込めるようにできるようになったらしい。
互いの利害が一致し、今まさに人工知能と人類が互いの住む場所と立場を入れ替えたがっている。
『果たしてこれは一体何回目の入れ替えになるのだろうか』




