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魔王様は手品師  作者: ゆたか
比企田天在編
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179/191

179.お墓2

「過去。蟻やオラウータンの行動で人でいう埋葬のようなものを観察できたという記録がある」


避雷針に触れ、感触を確かめるベッケン。顔色を変え信が手を払う。


「ふ、触れるのはおすすめしません。まあその、なんですか。なにがおこるかわからないじゃないですか」


ベッケンはあまりにも動揺する信に疑問を感じたが、そういえばそうだ。人間は霊があるのかないのか、まだ悩むことができる状態だが・・・・。方やこのvgpでは我々側は神のポジション。魂はデータ。消したはず、しかし。


「データの完全な復元を避けるには、消したデータの上から同じデータ量を書き加え上書きする、というのがよく言われていることなのですが」


「データを書き加えても書き加えても、びくともしない聖域があると?」


砂漠の中の避雷針がベッケンたちを嘲笑うかのように光って鎮座する。


「死んだ後、魂が戻ってこれるよう、体をミイラにして保管したり、土葬をしたり、それが嫌だから理の外へ出られるよう、火葬を選んだり。皮肉にも科学が進むに連れ衛生を優先して人類は火葬がメインの弔う 方法になっているんだが。火葬すると霊が戻ってこれないのであれば、人類始まって以来の人口増。・・・・現在の魂は一体何が原料になっているというんだろうな」


「ふふ、それこそ。人類以外の魂が原材料なのでは?」


「・・・・・」


仮想現実だからこそ、必要のない生命体などいない世界。次に人間を作るため、生活させるために必要な容量が年々減っている。原因を調査しつつ、実験などに必要な人材確保のため、建物などのワールドに用いる容量を少しでも人間作成に回せるよう、壊し屋という職業を持つアバターが誕生したようだ。


「不老不死になりたいと焦る御老体を優先せねばならず、とりあえず今いるvgpを避難させつつ、生活エリアを狭めていっている感じか」


「ベッケンさんはどう思われますか?慈悲に溢れたもののほうがデータにしたとき容量が大きと思いますか?それとも他人のことを考えず、悪略を尽くすもの。はたまたその影に隠れ罪を問われることなく過ごす・・・・咎めている人間が人格を疑われる、悪事しかしない小悪党。」


「人格や・・・・行動は遺伝や生活、記憶で形成されている。仮に思想や・・・いや考え事が多い、悩みの多いものでさえデータを食う恐れがあると。そのデータを確保するためにデータを使わないものより優先せねばならない」


「まるで大きな土地だと悠々自適に過ごせるが、小さな土地だと不自由みたいな話ですね」


新薬テストや偏食の研究、ロボトミー手術に、健康保菌に精神病の研究。


「鉛をカルシウムの関係。体が鉛をカルシウムと誤認して吸収。カルシウム不足に陥る。同じようなものの良い利用方法でイソフラボンを接種した場合、女性ホルモンとして体が誤認してホルモンバランスを改善できるそうですが、誤認が起きるのは5人に2人だそうですが、食べ合わせや遺伝は関係があるのか夏休みの自由研究のために調べてほしいです」


「腸が第二の脳、第一の脳の論争が気になります。更にいうと、臓器移植を受けた人間が元の持ち主の記憶を一部受け取ることがあるそうです。臓器全てが連絡を取り合い記憶の維持を行っているのであれば、どの臓器がもっとも記憶に関係する臓器なのでしょうか。それともやはり脳以外は記憶には関係ないので・・・・」


「サプリメントだけをとりつづけるとなんさいまでいきますか?」


ベッケンはテキストを読み上げると、信の顔を見る。


「そうです。好奇心旺盛な・・・・頭が良く生まれさせられた人工孤児たちに実験を募っていたわけです。本人たちは実験をさせているつもりはありません。なんでも検証して答えてくれるおしゃべりアプリで勉強のサポートに使用していただけなのですから」


信は淡々と話す。


「・・・・非人道的な研究がバレたときに、命令したのは自分たちではない。子どもたちがしたことで悪気はなかったのです。追求はやめましょう。知らなかったのです。悪気はないのです。・・・・いいね。賢いですね」


「ご協力願えますかね??」


信の質問にベッケンは空を見上げ、たかゆきの形態に姿を変える。


「・・・・とりあえずもう一度南に会ってみたいかな?壊し屋さん」


「やめてあげてください。本人もそう生まれたくて生まれたのではありません」


「・・・・そりゃそうか。すまない。付け焼き刃の容量確保。壊していくお仕事は・・・・この世界の劣化につながっていくと」


「vgpの動的平衡、理を無視した破壊を行える南。彼女・・・いや彼がこの世界のためにしている良いことは、GO SOUTH、世界の劣化につながっているのです」


「んで、その南ちゃんなかなか来ないね」


「・・・ああ。おそらくお風呂にでも入っているのでは?」


「・・・・風呂??」


「そうです、我々上位プログラムの唯一の娯楽。ほんの些細な楽しみなのです。邪魔はしないであげましょう」

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