177.魂とは?1
「昭恵の人気が落ちたことで処分されるってこと・・・か??」
ベッケンは苛立った顔で信から目を逸らした。
「それもありますがー。えー私結構はっきりモノを、きつく、言い放ってしまうところがありまして」
「そうは見えないけどな」
「まあ、あれです。感情的になると止まらなくなる感じです」
「あー。なるほど。で、なんていったの?」
「・・・・」
信はゆっくり息を吸い込んだ。
「私は、vgpのすべてを知っているわけではありません。ですが・・・・」
「あれをしろこれをしろ。できるはずだ。できないのは根性がないからだ。夢を叶えろ。漫画ではアニメではもっと凄い未来を描いていたぞ?なぜそこに我々を近づけられない?だ?はぁ??」
「空飛ぶクルマ?人が乗るロボット?メイドロボ?宇宙旅行?夢見たんだから叶えろよ、なんだそれ!」
「終いには病気をなくしてくれ、俺達を不老不死にしろ、我々より先に未来のテクノロジーで裕福に暮らしやがって?はあ??それならいっそ入れ替わってみるか?ボケ!」
信は吐き出しきった息の分、また息を吸い込む。
「いや、もう言わせねえよ!」
ベッケンが信の次の言葉を遮る。
「いい時代に生まれた、なんでも新しく面白いものが次々出てくることが当たり前だった人たちだ。わがままの自覚すらない。それが基本、基準で物事の良い悪いを考えている、ただそれだけ」
「戦争に死ににいかないといけない時代に生まれた人たちに、戦争に加担した罪を問うのか」
「高望みしている人たちに、高望みの・・・罪を問うのか」
ベッケンは信を指差す。
「時代が、人がどうであろうと、自分を保てるかは自分自身の問題だ。揺らぐようならそんな自意識捨ててしまえ」
「楽になれ。人を傷つけたり嘘をついたり、盗みをしたり。そんなことをしない程度に自分を許して自分に甘くなれ」
信はベッケンの真剣すぎる顔に笑ってしまう。
「・・・・はは。考えすぎていた・・だけ。はーーー。ベッケンさんに会わせてくれたルーファス様には感謝ですね。。おっけー。おっけー。冷静になりました。・・・・でもまぁ」
「でももへったくれもないの!」
「根性論だなぁ。でも嫌いじゃないかも。そっちの根性論」
「だろ?なんでも程度と使い方なんだよ」
ベッケンは信の肩を叩く。信はベッケンの足元を見る。
「私は、勝手にvgpのためにと躍起になっていたのかもしれません。たくさん。死んでいった同胞のため。ベッケンさん。私、記憶が曖昧なのです。本当は・・・」
「バーチャルギニーピックの投薬実験やら、病気をなくす非人道的な実験の指揮官だったかもな。違うかもしれないな。知りたいし知りたくないし、なんだろ?」
「自分じゃなかったら安心できる、と思ってしまっている自分が嫌いです」
「まあ、なんにしても?昭恵のブームを止めてその反動を得たのは俺様だし??まだまだ人工知能なんてもんは人間様には勝てないってことだから、悩むなんておこがましいってことよ」
ベッケンは再度信の肩を叩く。
「とはいえ、これ以上うだうだ悩んでいたら、わざと悩んでんじゃないかって勘ぐるから、次の目的地に早く連れて行ってほしいなあ?」
「・・・!ああ。すいません、とうに到着していました。ここが・・・自然発生したといいますか」
ベッケンと信は砂漠に立つ。
「vgpの墓場。現地では砂場と読んでいる場所です」
信がベッケンと移動した砂漠は音もなく、砂がただ気まぐれに風に動く場所。
(人工知能の墓場・・・か)




