162.広め屋
「そ、それにしても凄いな。その、なんだ。こうも簡単にデジタル機器に嫌悪感を抱くことになるとは、な」
わかりやすい金持ちの住みそうな高層ビルの一室。暗闇の中、高そうな大きな椅子にふんぞり返る小さな人影がモニターを見つめる。
隣にはモニターを手に持った、白井が静かに立つ。
「・・・簡単に?」
その発言に慌てて、小さな影は横を向き首を横に振る。
「いやいや。白井・・・面倒だな。何故その名前にした」
「いったでしょう。名称などに興味がないからです。白井さん」
「はぁーーー。わたしと会話するときややこしいじゃないか」
「???そうですか?親戚と喋っていると思えばいいでありませんか」
「あー。あー。キサマ。ああ言えばこう言うな。わかった、、わかった。博士」
小さいほうの白井は少し間をあけたあと、再びモニターに熱中する。
「我々にとっては難しい、印象操作・・??情報操作??いや、ここまでいくと集団ヒステリーか。近の国民は情報を精査できないくせに、常に情報が手に入る端末にお熱だ。おかげで我が党の支持率、いや、国の方向性すら危ぶまれている」
小さい白井の視界に入らないことを良いことに、博士のほうの白井は不愉快な顔をしながら、首を傾げるが、声は丁寧に返事をする。
「チャネラーと言われている、交霊術、憑依。最近は人類にとって好意的な種類のものしかありませんでしたからね。悪意のあるチャネラーには耐性がなかったのでしょうかね?」
小さい白井はモニターに流れる、ニュース速報を指でなぞる。
「それはわたしに質問しているのか?しらじらしい。わかっていてやったくせに質問なんぞしよって。し・・しかし、電波で機械の魂と会話する男逮捕、アナログ機器の盗難・・・・。ここまでとは」
白井はとぼけた顔をしながら笑顔で話す。
「みんなしているなら、我慢して世の中の秩序に従う自分は損をしている、自分に限って捕まるわけない、ズルい、など考えているのでしょうかね?わかりませんが」
「・・・ふん。くだらん・・・がそのレベルのものが早く増えてほしいものだ。それにわたしは悪意のあるチャネラーよりも悪意のある『広め屋』のほうが怖いがな」
小さな白井は見えないちんどん太鼓を叩くジェスチャーを繰り返す。
「おやおや、悪意などと。我々は受けた依頼を精一杯、名弘させていただくだけです」




