152.ルーファス3
「ちょ、ベッケンさん。まぁ・・・ベッケンさんがいいなら撮影は続行しますが・・・」
スタッフがモニターとベッケンを残し立ち去る。
「ひえぇー。やっぱり慣れたとはいえ、いきなり目の前が真っ暗になる感じ。こええっすねえ。」
「さっきのスタッフはあまり驚いてなかったが・・・こんな一方的に喋るAIなんてそういないはずなのにな」
「明恵さんの事いってるんすか?まぁベースは同じようなもんだし、経験値は共有されてるっすからね、でもあの婆みたいに口うるさくはないっすよ僕」
ベッケンは手を叩き笑う。モニターの下にあるネームプレートを見る。
「お前面白いな、ルー・・・ファス。デーモンコアが由来ならひでえ名前のつけられ方してんな」
「こいつが賢くなると人類を滅ぼしも次のステップへも格段に引き上げるだろう、ただし扱いは要注意。人間と楽しく人間らしく話せる新しいエネルギーで動いてるっす、その総称がルーファスっていうんす」
「エネルギーには名前がついてんのか?」
「笑っちゃうっすよ、エネルギー名はフレンドリー。でもできた僕の名前はルーファスなんて」
「なら、亡くなった有名な漫談家の名前でもつけてもらったら嬉しかったか?」
二人は笑ながらそれはないよなーと手を横に振る。
「あぁ、話が逸れちまったな、さっき怒って、怒っていたのか?」
「そりゃあ、ファンですから!楽しみたいのに対決して勝つようになんて言われたら嫌ですよ!」
「・・・・お前。そういや最近・・・」
――――――
「巷で話題のAI、こちらは最新のモデルとなっております。開発に携わった白井さん、そしてAIのルーファスくんです」
「アナウンサーさん、わたしに性別はないので、くんは変です。あ、でもさんだと女性のようにも、あーえーっと」
「ルーファス静かにしなさい。とりあえずわたしは明日の天気が知りたいんだが」
「博士ぇ、天気なんて検索すれば出てくるんですから、自分で調べてくださいよ。それより録画しておいたベッケンさんの番組、HDのどこに入ってるっすか?外付けなら探しても見つからないの当たり前か。それか番組タイトルがない?ってそれで思い出したけど、この番組ベッケンさんの放送してる局じゃないじゃん、やっちゃった。どうしよう、あ、博士。明日なら晴れるから傘はいらないっす。でもでかける地域によっては雨が降るから、傘は持っていたほうがいいっすね」
アナウンサーは笑ながら、天気予報について語る。
「あー、ルーファスくん?さん?の話だと天気はいつ変わるかわからないから折り畳み傘をいつも持っていたほうがいいと」
苦笑するアナウンサーにルーファスは続ける。
「人口排熱、酸性雨、地表面の温暖、空にある雲に与える影響がランダムすぎてハッキリって従来の雲の形だけをみて動きを予想するなんて無理っす」
博士はモニターの電源を切る。
「ま、まぁ。こんな感じで本題から逸れて、楽しいお喋りをしてくれるように設定をしたために、知りたいことをすぐ答えてくれない、困ったもんなんですよ」
アナウンサーは手を横に振りながらも笑い博士に返事をする。
「聞いていることに答えてくれないと人間同士でも話していて疲れたりしますが、話が逸れて会話が盛り上がって結果良かったということもありますからね、面白いものを見ました。あ・・・あと。ルーファスくんに伝えてください。別局ですがわたしもベッケンさんは好きです。この局ではベッケンさんの種明かし、インチキだと批判するものもありましたが、低視聴率でした。ベッケンさんのする不思議なことは中高年、年配の方が多いと聞きましたが、性別人種年齢問わず愛されて・・・っていつの間にかCMにいってしまってたのか。AIに話しすぎだなあと思っていたのに自分が喋りすぎてしまいました」
博士はアナウンサーに一礼してモニターを持ち去る。
「ルーファスが楽しく長く話したから、貴方もそうしたくなったのかもしれませんな」
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