141.たかゆき
妖精とゴキブ・・・ではなく、青年とその姉はそれぞれモニターに向かう。
「姉ちゃんこれ見てよこれ」
「あぁん?あんたモニターに出てきてない物指差してもわかんねえって何回言えばわかんの!添付して」
軽快な音とともに姉のモニターにファイル名が表示される。
「はぁ、、ギニーピックがまさか自分たちが人間じゃないって聞いて驚きもしないなんて、私ら人間なんてこの世界は幻なんですって信じて自殺者が出たりするのにさあ」
ファイルの転送が完了する。
「で、これなんなん?まーた新種の昆虫画像だったら許さねえっすよ」
「ち、違うよ。凄いことでござるよ」
そこには「南」と書かれた文字がいくつか並ぶ。
「筆跡鑑定してみたでござるよ」
「筆跡鑑定??」
姉は、しまったとなるほどを同時に顔に出す。
「あーんただから、南に執拗にサインねだってたんすね」
「・・・・ぐふふ、いくらバーチャルとは言え、偽造不可能であろう、筆跡でござる。声紋と違いその場での偽造はできないはず」
「・・・・結果は?」
明らかに不機嫌な姉に気を使いながら、添付ファイルを遠隔操作する青年。
「南とたかゆきの筆跡鑑定の結果は97%でござる。80を超えればほぼ確定らしいから」
「それだけじゃないんでしょ」
察しのいい姉はいくつかの南の文字に注目する。
「・・・・。で。他のものも」
「そうでござる。真は70%、明子は78、実は72ぐらい。町中の一般人でも70以下はいなかったでござる」
姉はトントンと机を叩く。ゆっくり、少しずつ叩くスピードを落とす。
「あんた、あっしよりパイセンと仲良かったみたいだけど、実際会ったことは?」
「ないでござる」
「顔は」
「知らないでござる」
「はあーーーーーー」
机を強く叩く音が響く。
「あのアホ政治家、世迷言ではなかったってことっすね、後だしじゃんけんしたあのセリフ。たかゆきはなんて見たことない、会ったことすらない」
「で、でも姉ちゃん。ギニーも僕らも会話したり・・・・それじゃあ証拠にはならないでござるな」
「何をもって実在したとするか、か。ああ、間違えた。存在し続けてるとするかっすね。しかしそうなるとマズイことに」
「どうしてでござる??そんな些細な・・・・」
「あのねえ、人類の飛躍的な進歩のきっかけはなによ」
ため息をついた姉は大きな声で怒鳴りつける。
「神の否定っ!!」




