140.ふたりのじかん
松本は一人白い空間に取り残される。
「お師匠、ヒデさんとご機嫌でどこかに行っちゃったけど・・・ここから俺、どうやって出るんだ?!」
「お困りのようだな、娘婿、あ、いやワシの娘の娘だから娘娘婿?そんな早口言葉みたいな言い方でいいのかのう」
ギクリと驚きつつ、ゆーっくりと松本は首を後ろに動かす。視界に入るか入らないで松本はため息をつく。
「糞オヤジ様、おひさしゅうございます」
「うんこにファブ〇ーズかけるような言い方はやめい」
ゆきたかはニコニコしながら頭の上の三角巾を見せつつ、足がないアピールもかかさない。
「なんだその恰好??ハロウィンか?」
「・・・・?!」
ゆきたかは驚きながらも、冷静に分析する。
「そ、そうか。君ら世代だと幽霊は足があるし、ついでに三角巾もしてないか、いや、白装束さえコスプレになるのか・・・」
「なーにを独り言言ってんだよです。一応知識としては元は遺族が故人を偲ぶときに着ていたものが転じて幽霊が着ていてるとか」
「ファブ〇ーズすな、転じてか、何故転じたんじゃろうな」
「そりゃあ、時代の流れだろうよ、でしょう」
ゆきたかはうんうんと頷く。
「時代の流れなぁ。それにしても今は早いな、流れが変わる、転じるときが」
「情報の行き来に比例するんじゃね?大航海時代も概念がコロコロ変わったと見れるし」
「はっはっは。それは確かにな。情報社会じゃからな」
「その言葉、死語じゃねえか?」
「なんじゃと?じゃあ今はなんていうのが通なんだ??」
「通ってなんだよです、・・・・ってかこんなことしてていいのかよ」
ゆきたかは松本にピースサインを出す。
「あぁ、初めて長い有休をもらってなぁ」
「それはご苦労さんなこったです」
久しぶりに時間のできた二人はお互いを確認し合うよう、ゆっくり語り合うのだった。




