137.足跡
「じ、じゃあせっかく?だし、天在はとりあえず置いておいて、不可能物体系の話をしようか」
厠の窓からノートを持つ手が現れる。松本は丁寧に両手で受け取る。
「は、話すと長いから、要約するけど。一個の原理を見つけたらそれが改良されて量産されるのは手品でも機械でも、食品でも一緒で・・・。で、そんな中、超常現象系で長い間形を変えて使われている原理に見えない足跡があるよぉ」
「見えない足跡?」
「み、ミステリー小説でも出てくるものだね。今じゃ誰が始めたかわからないけれど、狩猟の時に獲物の足跡を見つけて、狩猟の成功率を上げたりする知恵だけど、そこからわざと足跡を付ける、逆に自分たちの足跡を消して相手に気づかせない」
「更に足跡糞をつけて、匂いを付けたり、そこから発展して、体に糞をつけたり」
「き、近年では鹿避けに肉食獣の糞を使用する実験が成果を上げてるねえ。匂いは鼻を頼りにする動物にとって目と同じだから、この場合匂いも足跡と言えるねぇ。3ページ、4ページを」
松本は信の指示したページを開く、ノートには部屋を上から見た間取りが描かれている。
「ぽ、ポルターガイストやそれ以前にあった、見えない何かが一家を襲った、死体は出てこず家は荒らされた形跡があり、大きな足跡のみが見つかった」
松本はノートを見ながら大きな足跡の流れを追う。
「うーん。これだと、大きな靴を履いて足跡を付けながら、バラバラになった食器を音を鳴らさず置いて・・・・後から家の外から音のするものを投げ入れて、目撃させるために叫び声を上げたりとかかな」
「す、するどいね。おそらくそんな感じだろうね。じゃあ今度は窓がある家の時代で、ポルターガイストが起きた家のページ4ページ目の上のほう」
1階と2階に分かれた部屋は同じように荒らされていたそうだが、今回は足跡がない。
「割っている最中の音は聞かれないようにしないと駄目なんですよね?他に音が鳴っていてかき消されていたとかは」
「そ、それはないね、電気の無い時代だしテレビもなくて少しの小さな音でも敏感に反応しただろうね」
「うーん・・・そこまでする?って回答でいいですか?棒を使って2階から侵入して、背中に絨毯背負ってて、部屋の中に絨毯をひいて・・・・予め壊した物を受け取ったら、絨毯の上を歩いて壊したものを置いていったりとか??」
「な、なるほどねえ。そういう解決をした人もいたかもしれないけれど、これは近くの木の上に木を持ってきて窓と木の上に乗せてから・・・」
「ちょっと!木の話も二人かがりだった話も今初めて聞いたんですけど!!」
「だ、だから。嘘の情報や明かされていない情報でいくらでも不可能になるんだよねえ」
「・・・た、確かに。だからってこれが人為的だったってことも言い切れないんですよね」
「そ、そもそも綺麗に足跡が残るシチュエーションが無理があったのか、幽霊やUFO、オーパーツにブームが奪われると、足跡の奇怪な現象はほぼなくなったからね、そういうことだったんだろうかと」
「スプーンを曲げられる人が凄い人だと取り上げられると各地でスプーンを曲げられる人が出てきますもんね」
「で、でも研究の余地はあって、外から何か手を加えていないが成り立てば不思議になるなんてこんなにコスパのいいやり方もそうないからね」




