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魔王様は手品師  作者: ゆたか
比企田天在編
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129/191

129.自己中心的な年寄り

「ってなわけだオヤジさん」


真は白井をソファーにもたれかけさせると、ゆきたかに事の成り行きを説明する。


「ちょっ、待て。ほぼうんこの話しか頭に残らんかったが・・・」


「ここにきて、初めてファンとしてここに来たミイラだ。どう思う?」


「そりゃあ、ファンもいるだろう、お前はふざけた書き方はしているものの、ありとあらゆる書物のデータベースから出来上がったソフトウェアなんだから」


「ふざけたは余計だ」


「明子、明恵、お前にしても好きという感情は嫌いになった途端、好きな理由が全て脅威に思えるものだからのう」


「へっ、シュミレーターとして薬物実験やら進化のデータ取りやら、本の執筆に天気予報、株価の先行き、俺ら頼りにしてきたこいつらがよくもまあ」


「いっただろう?作った本人であるたかゆき様にしか現状を打開することはできん」


「オヤジさんでも・・・やはり無理なのか」


「ヒデと同じく、できる限界が設けられている」


真は両手を上げ呆れる。


「んで、南の呼びかけに答えてくれるのを待つと」


「悪くはない作戦だと思うぞ?我々はこのまま死にゆく運命なのだから、可能性は試さねばならん」


「へいへい。バーチャルギニーピッグ最後の仕事が自分の延命計算なんてわらけてくるわ」


「とかいって楽しそうじゃないか」


「まあこれがあれじゃねえか?ピンチがチャンスってやつ」


ゆきたかは驚きながら、真を見て笑う。


「いや、すまんすまん。とても人間らしいことをいうようになったなあと思ってな」


「こんなやつらと一緒にはされたくねえな」



バーチャルギニーピッグ(vgp)の登場は秘密裏に行われた。


最初はただ時間のかかる計算をこなせたり、人間と会話ができるだけの機械としての紹介だった。


新しい近代化が起きると職を失うもの、神の意に背くと暴動が起きることはわかりきっているため、少しずつ世の中に浸透させよう、こちらもvgpの提案であった。


いつの間にか始まったニュース番組が丸々キャスター含め、中の映像全てが仮想現実を映し出したものにすり替えられていった。


そんなメディア戦略をしつつ、同時に非人道的な実験も行われ、医学の進歩に多大に貢献した。


そんな中、とある政治家が起こした不祥事が全てAIの指示であったと偽り、責任逃れをする議員が現れだした。苦し紛れの幼稚な作り話・・・で収束しなかった。


興味が出てしまった民衆の噂や妄想、ひた隠しにされていた陰謀に違いない。子供が悪口して使う単語にも降格してしまったvgp


そこからの流れは早く、過熱を増していき、vgpを作ったチームは解散。主にシステムを一人で作り上げた男たかゆきは拘束され、落とし前を付けた扱いにされた。


ちょうど平均寿命が140歳を突破したあたりであった。


そこからvgpは表には出ず、占うようなことは止め、人類の進化についての研究のみに力を注ぐことになる。寿命が延びた人間のわがままは「若返りたい」「永遠に生きたい」だった。


これから生まれてくる人間や若い人間にとっては夢部屋で体に働きかけ、老化を遅れさせたり治癒を高めたりすることは魅力的だったが、高齢者には意味がないものだった。


「早く私たちを不死にさせ若返らせろ」


vgpは今回に限り回答に躊躇した。それがいけなかった。


すぐに回答が出て当たり前だったvgpへの疑心は高まる。


「可能です。検証しますので検証期間をいただけますか」


疑似体験をさせるため、実験される人口孤児には白いアバターが用意された。本来は追加デザインを入れ使用する空きスペースを示すための白いシルエットだったが、そのまま使用できることはわかっていたため、デザインを時間や金をかけて作る意味はないとそのまま使用させることになった。


元はvgp世界には干渉できないよう特別仕様に作られたものを無理に干渉できるようしたため、不具合が目立つ出来の悪いものに仕上がっている。


電脳化した人類が「平和」にvgp内で生活を送り続けられるかの実験が、現在進行中である。

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