125.例の喫茶店
例の喫茶店。マスターと明恵、愛はテレビを眺めていた。
「量子コンピューターの試験運転が始まり、我々の仕事が奪われると批判もあるようですが?」
ゆきたかはアナウンサーに軽快に反論する。
「働かされているという自覚を持っていただきたい。働かなくてよくなればもっと自分のため、家族のために時間を使えることは幸せなのですよ?」
「は、はあ。あ、只今不適切な発言があったことを謝罪させていただきます」
「謝罪なぞせんでもワシは・・・・・」
テレビを指さし笑う愛。
「あっはっは、おじいちゃん相変わらず無茶苦茶ね」
片や冷静にゆきたかを見つめる明恵。
「愛ぃ、あんたぁ、ほんとにそれでいいのかい?」
「・・・・・」
「やれやれ、笑顔を見せたと思ったらすぐだんまりだよ」
「あんたもゆきたか爺ちゃんも一緒さね、代わりを用意したら解決なのかい?」
愛は悔しさを握りこむスカートに抑え込み、顔は笑顔で明恵を見つめた。
「あーら、なんのことでしょうかおばあさま、南さんには才能がわたしよりあるじゃないですか。そんな人を応援するのは当然のことかと」
「ふんっ、その切り返し母親譲りだね」
「ではおばあさま仕込みかと」
その場を離れたいマスターは立ち上がると空の手でレジ袋を持つ仕草を見せた。
「は。は、はっはっは、ちょっとわしゃ買い物に。いやぁそれにしても占い師の世界も大変なんですな、占い相手から色々聞かされるとメンタルが持ちませんわな、大変大変」
すぐさま店を去るマスター。二人っきりになった明恵と愛は沈黙する。
「占いは、すきです」
「あぁ知ってるよ」
「占いする相手がお偉いさんだと、知りたくなかったこと、沢山聞かされて」
「あぁそうだろうね、だから私が占いをしているときは、私のところで嫌なものを止めてやるって覚悟で挑んでいたね」
「おばあさまは強すぎます」
「どこがだよ、見な」
明恵はテレビに写る、ゆきたかを指差した。
「強いってのはこういうやつのことを言うんだよ」




