124.教授ゆきたかの思惑2
「その後なーーんの発見もナッシングだけどね」
その後、ヒデは南が話した目標や現状を伝えた。
「ふーん、松本は・・・名前的に夢部屋の実験材料として自然発生したものだろうな、しっかし有名な手品師ねえ、がっはっは。ワシとしては実力のある占い師がすぐにでもほしいところなのに、占い修行もしたんだろ?ここは知らないふりして南を明子の後釜に・・・」
「やめなさい。確かにジョークとしては最高だけれど、世界の死が早まるだけよ」
「冗談だ。冗談。南に敵意がないことがわかれば、わっしゃオッケーよ、まあ敵意があったとしたら有無を言わさずだろうからな」
「あら怖いわねー。まるで目撃したみたいな説得力」
「そりゃお前、あの群青色の手袋をはめた南を見たらさ、怖いのなんのって」
「手袋ねえ・・・それはたかゆき様が用意されたものかしら?」
「体の一部・・・うーん。わかるだろうが、わしらは自分の役割以上のことは教えてもらっていないから推測でしかないが・・・」
「そうね、無粋な質問だったわ、そういえば長電話してていいのかしら?仕事忙しいんでしょう?」
ゆきたかは携帯を持ちながら部屋を移動し始める。
「聞かせてやるよ、なかなかの忙しさだ」
怒号が飛び交う中、6名ほどはパソコンに向かい、10名ほどが前を往復している。
「はい、〇〇論文ですね、かしこまりました。こちらです。どうぞ」
「今日の天気ですか?申し訳ありません。天気予定はメンテナンスのため天気予報になりますがよろしいでしょうか?」
「舞台の台本を書くのですか?それでは3つほど質問をさせていただきます」
「新しいお店のコンセプトから、開店用のパンフレットを作成しました」
「〇〇▲▲という芸能人の経歴についてですが・・・・・以上です、年収等はプライバシーのためお答えすることができませんが、推測とされる年収は」
「東京のおすすめのスポットですか?お昼訪れるなら・・・・」
ゆきたかは忙しい部下たちに深くお辞儀をする。片方の手で手を振りにこやかに微笑む。
部下たちは嬉しそうに手を振り返し、作業を続けている。
部屋の如何にもな赤いボタンをゆきたかが押すと、チャイムが鳴り部下たちの手が止まる。
「占い師不在、不老不死への朗報待ち、その場つなぎとはいえ貴方も大変ね」
ヒデがゆきたかを案じたが、ゆきたかは自分たちよりも部下を心配そうに見ている。
「教授、大丈夫です。もうすぐアレも完成するんですし、それまでなら世界に貢献できるこの状態を嬉しく思ってさえいます!!」
「一時に比べたら利用者も減ったように思いますし、あとは・・・」
部下たち一人一人に丁寧に握手をしていくゆきたか。
「ヒデよぉ、おりゃぁ明子に嫌われちまってるけど、いつか分かってくれると・・・」
「わかっているわよ、でも許せないのも事実」
ゆきたかは3度頷く。
「メンテナンスのボタンは押した、それではこれより、量子コンピュータを作動させる、皆今まで苦労を掛けたな」
ゆきたかはそびえたつ黒いマシーンを撫でる。
「たかゆき様の気持ちが・・・なんとなくわかるな、1億倍高速だから、億一でいいか」
「はい、マスター。それではこの億一にご命令を」
「先ほどワシらの部下たちがやっていた作業を引き継ぎつつ、この世界の分析と」
「世界のトレースを短時間で完成させてほしい」




