121.人口孤児
「その昔っすね、病気がほぼ根絶、外的要因がなければ平均寿命が140歳を超えるという国があったっす。どんどん晩婚化が進む中、結婚やアレすらせず高齢で男女問わず子供を欲しがる文化が広まったっす」
「もちろん合法的に里親になるものもいたっすが、需要が供給を上回ってしまったわけっすね」
「・・・供給が足りなくなったら?作るしかねえわけっすね」
「それで。できれば容姿端麗、頭もいいほうがいいしー、体も丈夫なほうがいいし―?なんて要望に答えるためにさ、あっしたち世代は人工的に作られた孤児なわけっすわ、素晴らしいことにいい人口孤児の元は100年以上前から冷凍保存されていたわけで」
南は正座して聞いていたが、立ち上がるなり、怒りを表す。
「国は、反対する人はいなかったんですか?」
妖精は背を向けたまま
「国が黙認して、なんなら推し進めていた計画っす、子孫は残してほしいし?なんだったら頭いいやつが増えてくれるほうが国のためになりそうじゃないっすか?」
「そんな・・・・」
妖精は南のほうを見る。
「あっしはでも、まぁこうして南ちゃんにも会えるのも生まれてきてなかったらなかったわけだし?皆が皆、人口孤児ばっかだと別にぃって感じっす」
「無理してない?」
「まぁ・・・ちょっとだけしてるっす」
「みーんな。この時期の孤児は人口なんだろうな、ってわかっていながら天然と信じて購入したり。天然なら天然でどうして人口孤児なんかに勝てないんだって、まぁ無茶苦茶っすよ、人類が滅びることはあってはならないらしいっすからね」
「・・・・・」
「わかったっしょ?おねだりするのもいいっすが楽しいことばかりじゃないんすよ」
「・・・今度」
南が両手を握り妖精に向かう。
「はぁぅ?」
「今度は僕が楽しい話、松本君、ほんとひどくて、本ばっか読んでるけど、話聞いていないのかって怒ったら全部聞いていて、でも悪かったってソフトクリーム買ってくれて、それで」
妖精は腕組みしながら、後ろに反れて笑う。
「あっっはっは、全部今言ってるじゃねえっすか、言ったじゃないっすか。あっしらの世代は受け入れてるんすよ、ああ人口世代からしゃーねーななんてずーーーーーーっと言われてるんすから」
「でも、うぅ」
「あああ!!泣くな!それなんでかあっしらにも聞くから止めてほしい、マジのマジ」
「そのマジ、マジ、マジ?」
「あー、撤回っす、勝手に泣いてろっす」
妖精はその場から消えていく。南は一人残された場に取り残される。
「あー。。消えちゃった。。。それにしても・・・自分がなんなのかなんて、・・・そっか、大きなエゴを背負わされている人に比べたら、・・・・いやでもそんなこと考える自分が嫌いだし。。」
―――――
「姉ちゃん声でかかったにんにん」
女性は耳に着けていた機器を外し、青年のほうを睨みつける。
「お前まーーーた真と話してたっすね、あいつはロクでもないやつっす、やめとくっす、あと姉ちゃんはやめろっす」
「でも姉ちゃんは姉ちゃんでござるよ」
「ござるもやめろ、・・・あーー。姉ちゃんは、まぁいいっすよ」
「あれ?今日はご機嫌の日?」
「うっせーな。やっぱマジほっとけねーなって思っただけっす」
「そのマジ、マジ、マジ?」
「はい、コロシマス」




