116.楽しくないおでかけ
松本、実、明子の3人は車に乗り、とある場所へ向かっていた。
「この3人で・・・珍しい組み合わせで外出なんて・・・・」
松本はウキウキでハンドルを握る明子を心配そうに見つめる。
「がっはっは、とりあえず検査結果をもらって安心できただろ?まぁ私が頑張って作ったハイパーウルトラスーパーな抗生物質を飲んだわけだしいぃ?そもそもあの村が保菌者だらけの村だとしてもウイルスや菌なんぞ昔の話にすぎんのじゃあ!」
意味のないクラクションを鳴らしながら楽しそうにドライブに勤しむ明子。
「し、しかしですよ?病で亡くなる人もいるので言いにくい話ですが、ウイルスが遺伝子を書き換えて生き物は進化したなんて話も聞きます」
まずいと思ったのか実はすかさず松本の話に付け加える。
「ああ!松本君、それトンデモ論と言われているものですよ!それ!」
バキッと嫌な音が鳴る。音に合わせゆっくりと停止していく車。
「・・・・・・」
「松本ぉ、もしウイルスや病が意図して投入されていたとしたら、私はそいつが宇宙人だろうが神様だろうが許さねえからな!」
「で、でもですよ。動物実験をしているのは僕らも同じです。聞くと、今はシュミレーターを使って開発をしているらしいですが、昔は・・・」
明子はいとも簡単に手に持っていたハンドルを引きちぎる。ちぎった力とは対照的に目には涙がある。
「松本・・・。ひでえやつがいて、そいつの世話にならないように頑張って、離れようとして。でも意識しちまってるんだろうな。気づくとそいつのようになっちまう」
続いてハンドルを叩きつける明子。
「わ、わかりました!もうやめましょう!そのひでえやつが出てきたら俺がコテンパンにしてやりますよ!!絶対!(で・・でてくるわけないし)」
実はハッ・・・とした顔をしたが、松本、明子には気づかれていないことを確認し、・・・すぐに表情を戻した。
「おっ!松本、大ちゃんみたいなこというじゃん、かっこいいねえ」
一人車の外に出る明子。
「・・・・も、もう泣き止んでる」
実は肩を優しく叩くと申し訳なさそうに言った。
「あー。えーっと。車が勝手に壊れてしまいましたので、歩いて目的地に向かわないといけなくなりました。修理は私がしておくので、お二人で・・・・」
「こ、こんな人と二人きりにさせないでください!」
実は松本のポケットを指差す。
「鼻血が出るカプセルギミック・・・ってあれ怪我のフリして殴られないようにしろってか」
実は大きく頷く。
「できるか!!バレるわ!」
「でも兄さんは気づかれず上手くしてましたよ。木の実を使ってた時から」
「な、なんか嫌なギミックの成り立ちを聞いてしまったような」
「ああ、でも心霊手術やスティグマの研究の成果なのは事実ですから、自信をもって使いなさい」
松本と実の押し問答の中、ドアのノックが聞こえる。
「あ、明子さんど、どうしたんですか?」
「・・・いやあ。目的地まだまだ先だと思っていたんだけどさ、向こうさんが近づいてくれてたみたいで、ほら」
明子の指差す先を見ると、1軒の建物が車の上に乗りゆっくりとこちらに向かってきている。
「明子ぉおお、おまたせええ」
金髪、短髪、髭にサングラスの・・・とりあえず濃いを凝縮したような男が窓から手を振る。




