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魔王様は手品師  作者: ゆたか
比企田天在編
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113/191

113.駆り立たせる

松本は真から借り受けた瓶の中を見る。


「フェロモンかあ、南にさせようとしていたことにも使えそう」


真は松本から冊子を受け取り、採点をする教師のようにペンを走らせる。


「いいね、いいね。まあこれも天才の俺の影響を受けたってことだな、にんにん」


松本は瓶から少量の液体を取り掌になじませる。


「さっきは強烈に感じたフェロモンもすぐに慣れてしまうものなんですね」


ペンを走らせながら真は松本の動きを注意深く見る。


「おいおい、アレルギーが出ないとも限らないんだ、軽々と見知らぬ液体を皮膚につけるんじゃあない」


「でも先生のことですからパッチテストも」


「そりゃもう完璧、と言いたいがアレルギーはいつ起こるかわからんからな、免疫過剰、免疫の暴走、ただ睡眠が少ないだけでも発症する場合があるからな」


「・・・す、すみませんでした」


「わかったならよし、ちなみに香りってのはないと他を引き立てなくて絶対あるほうがいいくせに、単体だけだと威力で言うと弱い」


「香りがなくても美味しいラーメンは不味いし、香りだけがいい味の悪いラーメンは不味いと」


「そそ、BGMに近いかもな。流してたら元気が出るけど、流し続けてたら麻痺してしまうけど効いてないわけじゃない的なさ」


「組み合わせ・・・ですか」


「ま、それでいうとお前の企画書とは相性ピッタリだな、ちなみに見せたがりの俺がリスクありと覚悟してお前に経験させたいことがあるからやってみたいことがあってだな」


真は深く息を吸う。吸いながら吐く音も聞こえる。


少しの間を置き、お経のような声が低音と高音が時間にして3分ほど真の口から流れる。


「・・・・って感じ。これにさっきのフェロモンが組み合わさるとやべえモノの完成なわけ、匂いと音はバランスよく組み触ると相性抜群っておい」


松本は静かに座り込む。


「聴覚と嗅覚の呪い。サンスクリット語分かんなくてもやべえだろ、太鼓の音が心臓を揺らし心を高める、それの真逆だな」


「呼吸法ですか」


「ピタゴラスが聞いたらどう反応するか想像したらおもしれえな、耳は性感帯なんていう話もあるし、そこを嫌に刺激する研究と考えてもいいな、まあテレビに出すならこんなやべえもの駄目だけどヒントにはなんだろ」


「本に書いてあった無意識な運動を意識させると」


「あっちに書いてあったのは呼吸することに集中したら頭回転させるのを忘れて脳を休めさせられる、太極拳とかしっかり教えてもらって意識すると頭すっきりするぜ、こっちのは恐怖で無意識に体の反応を呼び起こし運動させる感じだな、手品に通ずるものがあるからな」


「駆り立たせるかぁ」


ふいに松本の背後からガザガザと音がする。驚き松本は振り返るがやられたという顔をして真を見る。


「な?種が分かっていようとゴキブリがいるかもしれない、と隠しスピーカーのほうを見ただろう?嘘かもしれないなんて関係ないんだ、反応させたら勝ちなんだよ」


「精進します!」


「じゃあまず、息を吸いながら吐く、吐きながら吸う、犬のように過呼吸気味に吐きながら息を止めて・・・」

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